第10話 ページ11
A...
...彼から貰った名前...
心が暖かくなるのを感じた。
こんな気持ち初めてだ...
ふと、思った。...彼の名前...知らない
何か、男の人と話してる彼の服をクイクイと引っ張る。
それに気づいた彼は私の方を見た。
「ん?どうしたんだい。」
名前...聞かなきゃ。
「な、まえ。」
「名前?...Aっていうのはいやだった?」
「ちがっ...そうじゃ...ない...あな、たの名前...」
だんだん小さくなる声は彼に届いただろうか。
すると、彼はパチリと瞬きをし、苦笑した。
「あぁ、そうだったね。僕は太宰、太宰治だよ。」
だざい...おさむ...
「だざ...い、さん?...」
そう彼に問うと、う〜んと唸った。
「太宰さんより、治って呼んでほしいな。」
「お、さむ...くん?」
そう呼ぶと彼は目を輝かせた。
「森さん!森さん!やっぱりこの子にして良かったよ!すっごく可愛い...!」
そう言ってまた、抱きしめてきた。
「うんうん。可愛いのは私もわかっているから、私ともお話させてくれないかい?」
男の人がそう言うと、治くんはあからさまにムッとした。
「えーやだよ。だってA森さんの事怖がってる、近づかないで。」
そうピシャリと言った治くんに対し、男の人は表情を崩した。
「そんなぁ〜いいじゃないか...少しだけ、ちょっとだけだから!ね?」
そう言うと治くんはそっと私を離した。
「ちょっとだけですよ。」
そう言い、少しだけ離れた。
「こんにちわ。Aちゃん。」
ニッコリと笑う男の人に対し、私も答える。
「こん、にちわ...」
「私の名前、森鴎外。よろしくね、Aちゃん。」
そう言って頭を撫でてきた。
「もり、さん?」
そう言うと、治くんと同様、いやそれ以上に目を輝かせた。
「うんうん!森さんでもいいけど、リンタロウって呼んで欲しいな!」
そう言われ、リンタロウ、と言おうとすると、治くんに遮られた。
「A、この人の事はロリコンで十分だよ。」
...?
「ろりこん?」
首を傾げて口に出すと。森さん...いや、ロリコンさんは地面に膝を着くように倒れた。
そして、治くんは笑っている。
「うぅ...Aちゃん、ロリコンはやめて、Aちゃんに言われると凄く傷つく...森さんでお願い。」
そう言われ、森さん、と言い直す。
治くんに、森さん...
私は気づいた...この人たちは...とっても暖かい。優しくて、とても......。
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氷翠(プロフ) - ゆんゆんさん» ありがとうございます!!はい!ちょっと今忙しくて、、余裕が出来たら更新します!気に入って頂けて嬉しいです!! (2019年7月8日 18時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 好きです!!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年7月8日 14時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - 美雲さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷翠 | 作成日時:2019年7月3日 21時