誘惑だらけ。

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｢Aはさ、学校ではどんな感じなん？｣






『どんな感じ？』









洋菓子に手を伸ばす真司郎。









私は紅茶に口をつけてから、学校での風景を頭に思い浮かべる。









『別に普通…かな？』





｢男の子の友達とかはいるの？｣









そこに、興味津々な様子の千晃も加わる。









『まあ、いるのはいるよ』





｢告白されたりは？｣





『こ、告白？…たまに？』





｢やっぱり、Aってモテるんや。そのこと絶対みんなに言ったらあかんで｣





『い、言わないよ！こんなこと』





｢特ににっしーにはね｣





｢そうやな、あいつは絶対あかん。めんどくなるもん｣





｢真ちゃんが励まさないとね｣





｢嫌やー。その役目だけは絶対無理｣









とんとんと進んでいく会話。









この前のにっしーを思い出して、なぜか体温が上がる。









もう名前でなんて呼べないと思う。









あの時の勇気はどこから湧いてきたのか、今ではよくわからない。









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｢まあ、私たちがAを守るから！｣









胸を張った千晃。









可愛い。









｢そうやな。安心しい｣






『2人はどこの立ち位置なの…？』






｢AよりのA？｣






｢まさしくそれ｣






『それって…、にっしーは？』






｢あいつは図太いから大丈夫や。でも、意外と繊細やったりするから困る｣






｢それ、にっしーが聞いたら泣くよ？｣






｢おらんから言ってんの｣






『2人とも、怖い…笑』






｢怖くないわ。笑｣






｢なんだかんだ1番真司郎がにっしーのこと好きだから、安心して｣






｢好きちゃうわ！｣









双子のような、真司郎と千晃。









真司郎が兄で千晃が妹のこともあれば、逆に見える時もある。









確かに、"友達"では遠すぎると思う。









この関係に名前をつけるのは難しい。









だけど、すごく憧れる。









キラキラとした笑顔の2人はこんな私にも手を差し伸べてくれて、改めていい塾だと身に染みてわかった。

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