第九十八章 ページ48
その日、ルンズェの首都は燃え上がった。
豊かな国土、統一された美しい街並みを持ち、鉱石の産出国で主な貿易の品は宝石の原石や装飾品など。
高価ながらその品質の良さと種類の多さは他の国よりも勝る。
国全体が裕福であり、平民でさえ他国から見れば贅沢な暮らしをしている様に見受けられるほど成功しているルンズェ。
しかし、今日は違う。
響くのは楽し気な音楽ではなく、爆発音。
それに重なるように悲鳴と怒号、金属のぶつかり合う音、銃声。
曇天のそれは赤々と燃え上がる炎に照らされ気味の悪い色になっている。
そびえたつように天高く昇る黒煙はあちこちから発生しており、被害の大きさが一目瞭然。
国民たちは知らない。
どうして戦争に巻き込まれているのか。
国民たちは知らない。
どうして街には被害が出ていないのか。
国民たちは知らない。
どうして争いが起こってしまったのか。
……。
全ては王である皇帝の個人的な欲求から始まったこと。
このことを知る人物は少ないが、ルンズェの皇帝はコレクターである。
それは物品に限らず。
物珍しいものは全て自らの手の中に。
ルンズェでしか採れない希少な鉱石。
他国で買い占めた質のいい絹。
そして、人間。
数年前からルンズェ皇帝はとある人物を手に入れることに必死だった。
他より少し大きな村で偶然見つけたその珍物。
二色の色を宿した瞳を持つ少女。
あの村を焼いた後で姿を消し、やっと突き止めたと思ったらまた姿を消してしまった少女をルンズェ皇帝は血眼で探した。
各国にスパイを紛れ込ませ、パーティーにも大勢の死角を設けた。
そして見つけた。
変わらず美しい瞳を持った少女が我々国に居ると知って、皇帝は素早く次の行動に出る。
隣国の貴族を使い、我々国に深く関与する存在を作り、少女とコンタクトを取らせて。
ついに手に入れた。
しかし対面した少女に、皇帝は失望した。
その瞳は美しかった。
けれども、それはあまりにも普通の感情で埋め尽くされていた。
昔の少女とは違う。
あの時の瞳はもう無い。
激しい憤怒に襲われた皇帝は、少女から見る力を奪った。
それで、すべては終わったはずだった。
……。
城の外、否、もう城内にも敵が溢れ返っている。
我々国の幹部たちがこぞって攻勢に参加しているからか、侵略のペースが速い。
恐るべき強大な力に成すすべなく。
ルンズェ皇帝と側近数名が捕えられ、国から統治者が居なくなった結果でこの戦争は幕を下ろした。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
