第七十二章 ページ22
重たい瞼を擦りながら机に寄りかかっていた体を起こす。
そして肩にかけられた毛布に気付いて……自分が仕事途中に寝てしまったことを理解した。
ばっと部屋を見渡すがトントンの姿も資料もない。
謝らなきゃ、追いかけなきゃ。
そう思いドアを開けようとして、ドアがとても軽く開く。
勢いそのまま飛び出す形になり何かにぶつかる。
「うお、A?」
ぶつかったのは手ぶらのトントン。つまり、もう届けに行った後。
『ご、ごめん、私寝ちゃって……』
「ええよ、Aのやつほとんど終わっとったから、ついでや」
ま、寒いからとりあえず中入ろうや、と言って話を終わらせ部屋に入る。
ほんの少し廊下の空気に触れただけで中の温度がとても暖かく感じた。
「まだ眠いやろ、寝とき」
そう言いつつデスクの引き出しからまた新しい紙束を取り出す。
『え、いや……トントンは?』
「仕事」
『だ、ダメだよ!トントンこそ寝ないと!!』
しかし、書類を奪おうとしても断固として離さない。
これ以上は紙が破れそうなので諦める。
トントンは私の頭を撫でた。
人の頭を撫でるのが好きなのかな?それとも私の背が低いから?
「じゃあ俺も眠くなったら寝る。それまで仮眠とっとき」
『……』
「交代制やったらええやろ?」
納得し難い。今すぐトントンを休ませることは出来ないのだから。
……でも、トントンが寝る番になったら起こさずに私が頑張ればいい。
あれだけ疲れが溜まっていれば自力では起きないだろう。
私は一度頷いて提案を受け入れる。
『……おやすみ』
「まて、どこで寝るつもりや」
『ソファー。あ、邪魔かな?』
「いや、もっとちゃんとした場所の方が……」
『んー、じゃあベッド借りてもいい?」
「……え!?」
他に思い当たる場所が思い付かない。
自室で寝るといろいろめんどくさいし。
そう言うと、トントンがぼそぼそと俯いて何か言い始める。
嫌なら嫌って言ってくれたほうがいいんだけどな。
『迷惑なら机で……』
「め、迷惑ちゃうから!使ってどうぞ!!」
いきなり元気そうになったトントンが何故か必死に弁解してる。
こう勢いで来られるともうベッド使うしかないよね。
お礼を言って、ベッドに腰掛け、ポスンと横になる。
掛け布団も被れば、安心感のようなものを感じた。
微かにトントンの匂い。あぁ、だから落ち着くんだなぁ。
目を閉じればすぐに遠くなる意識。
ちなみにトントンは起こしてくれなかった。
考えることは同じですか。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
