第六十五章 ページ15
夏の厳しい暑さも和らぎ、過ごしやすい気温になったこの頃。
中庭の木も緑から色鮮やかに変わって。
他の季節とはまた違う匂いを感じられる。
そんな私の足取りは軽い。
理由は明白。こんなに足取りが軽くなる理由は一つしかない。
食欲の秋。
読書の秋。
行楽の秋。
『失礼します』
「Aちゃん、待ってたよ〜」
『こんにちは、オスマン!』
今日はオスマンとお茶会の予定なのだ。
しかもテラスで。ホントにいい天気でよかった。
オスマンはニコニコ笑ってティーセットとお菓子をトレイに乗せている。
持ち上げたところを見ると早く行こうという事だろう。もちろん賛成だ。
テラスに出ると心地よい日差しが照らしていた。
向かい合わせに置かれた椅子に腰掛ける。
脚をぶらぶらさせたくなるぐらいに雰囲気が好ましい。
オスマンはあらかじめ淹れていたティーポットから茶褐色の紅茶を注ぐ。
見慣れない色の紅茶だった。
『その紅茶って……』
「リゼ・ティーって言うんよ。良い茶葉が手に入ったから淹れてみたんだ〜」
『ふぉお……!』
どうやらこの紅茶、味が濃いらしくお砂糖を多めに入れて飲むらしい。
相変わらずオスマンは博識だ。
ひとしきり感動し終わって、早速一口飲んでみる。
砂糖を入れたお陰で程よい甘みが広がる。香りも素敵だった。
茶葉も良くて淹れ方も良い。最高の紅茶になる以外ありえないですよね。
「お気に召したようで良かっためう」
『うん、やっぱりオスマンは淹れるの上手だね〜』
他国との貿易とかそういう外交もオスマンがしているらしいし、この紅茶のすべてが彼のお陰と言っても過言ではないのだろう。
二口目を味わっていると、どうぞ、と置かれる一切れのシフォンケーキ。
流石、タイミングをよくわかっていらっしゃる。
私はオスマンが席について同じように紅茶とケーキを用意し終えるのを待ってから、フォークで一口サイズに切り、口に運ぶ。
紅茶の味や香りを殺さず、優しい口当たりで程よい甘み。
クリームチーズのさっぱりした風味とクルミが絶妙に合わさった至高の一品。
『美味しい……』
「ホントや。後で料理長にお礼言っとかなあかんね」
『これ、料理長が?なるほど、道理でこんなに美味しいわけだ』
「お店で買うのも良いんやけどね、俺は料理長のお菓子が好きなんよ」
オスマンは心底幸せそうに微笑んだ。
。・＊・。・＊・。・＊・。・＊・。
紅茶についてはウィキペディアを参考にさせていただきました。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
