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第八章 ページ8

「まずは食事だな」


総統さん、もといグルッペンさんにそう言われて食堂に案内される。
軍医の……しんぺい神さんが栄養不足って言っていた通りろくな食事をしていなかったのでとても助かった。
っと言っても足もまだ痛むしどうすればいいかもわからない。
適当な位置に腰を下ろし、ほかの人たちの様子を窺ってみようと思ったのだが……逆にタイミングを逃してしまい動けなくなる。
しんぺい神さんも居ないし、心細い……。


「どうしたの、取ってこようか?」
『……え?』


完全に行き場を失った私に突然声がかけられた。
声のした方を見ると、天と書かれた紙を顔につけた人。
名前は確か……


『ボロボロさん』
「違うね。俺はもっと自分を大切にしてるよ」


ロボロだよ、と少し困ったように、面白そうにまた名乗ってくれた。
どうやらロボロさんは動かない私を見かねてくれたようで。
食事を取ってきてくれるらしい。
ここは素直に甘えておこうと思ってお願いします、と頼む。
快い返事をしてロボロさんは人込みの方に消えていった。


優しい人が多くて良かったな。


「あれ、どうしたん。取りに行かんの?」
『あ、ゾムさん。えっと、今ロボロさんが取りに行っててくれて……』
「ふうん。前、いい?」


こくりと頷くとゾムさんは私の目の前の席に座った。
……大盛りの食事であふれたトレイを置いて。


『…………』


見たところゾムさんは筋肉がしっかりついているけど細い。
そんな体のどこにその量が入るんだろう。
……きっとこの人は一番大食いなんだろうな。


「おまたせー。あれ、ゾム?」
『あ、ありがとうございま……す』


ゾムさんに少し驚きながら食事を取ってきてくれたであろうロボロさんにお礼を言いかけて……彼の両手にある大盛りの食事に気付いた。
ゾムさんと同じかそれ以上の……。


「適当に取ってきたけど良かったよね?」


善意で溢れたロボロさんの言葉に苦笑いを浮かべながら。
今、私の前にそのトレイが置かれた。

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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時

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