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第四十五章 ページ45

『もうすぐ夏だなぁ……』


バルコニーにて仕事疲れを癒やす。
少し湿気を帯びた風が私の髪を揺らした。
外に出ることは少ないけど日差しも結構強くなってきたと思う。


『んーっ』


ぐーっと体を伸ばすと情けない声が出た。
誰かに聞かれてないといいけど、と思った時。


「あの……」

『え?あ、はい』


無事聞かれてたみたい。
後ろからの声に振り向くと使用人の人が三人。
ロングの人とサイドテールの人と、ショートボブの人。
使用人の人は何度か見かけたことはあったけどちゃんと挨拶できていない。
何か言われるのかと少しだけ身構えて……。


「今、お暇でしたらご一緒にお茶でもいかがですか?」


と、素敵なお誘いを受けた。
勝手に疑ってごめんなさいー。
その誘いに応じ、女子会ですねとはしゃぐ使用人さんの後ろをついていった。


案内されたのは使用人さんが使う休憩室。
中は綺麗で結構広くて、テーブルとかもお洒落だった。
使用人にも相応の対応をしていることがわかる。


「紅茶淹れますね〜」

『あ、それくらいは私やりますよ』

「いえ、そういうわけには……」


遠慮がちなサイドテールの人からそっとティーポットを取る。
やりたいんです、と言うと綺麗な笑顔で受け入れてくれた。
そうしている間にも、他の二人はテーブルにお茶菓子を並べるなど準備を進めていた。流石、手際がいい。
紅茶を淹れ終わり、全員が座ったところでショートボブの人が


「以前からお話したいと思ってたんです!でもずっと忙しそうでしたので」

「本当に今日はお付き合いくださってありがとうございます」


それに続いてロングの人。
声も雰囲気も話し方もとても素敵だった。


「わ、紅茶すごく美味しいです!」

『ありがとうございます』

「流石、トントン様のお気に入りですね〜」


何処で聞いたのか、私がトントンに紅茶を淹れていることがバレている。
驚いているとサイドテールの人が微笑んだ。


「先日、トントン様がグルッペン様にご自慢していらっしゃいましたよ〜」

「そうそう、俺はAの淹れた紅茶飲みながらやからええねんって!」


その光景を思い出したのか、三人は楽しそうに笑った。
この三人は普段からとても仲が良いんだろうなぁ。少しだけ羨ましい。


「A様」

『は、はい』

「何かありましたらいつでも私たちにご相談ください」

「何もなくてもいいですよ!」


彼女たちの明るい笑顔につられて私は顔をほころばせた。
まだまだ女子会は続く模様。

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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時

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