第四十二章 ページ42
苦痛だったパーティーが終わり、やって来るのは大量のお仕事。
各国への様々な書類や開催国への感謝状等々。
大変だけどこれがマナーだし、しょうがないね。
これが終わったら総統室に行って届けて、トントンを手伝おう。
私も頑張らないとトントンが気付けば三徹になってることも珍しくないから。
・
失礼します、と一声かけて総統室の扉を開ける。
整頓された綺麗な空間。
椅子の背もたれに背を預け、グルッペンは……甘いものを味わっていた。
『……』
「ん、Aもいるか?」
『……いりません。この後トントンの手伝いに行く予定なので』
「なんで」
『仕事です!誰かさんがサボってるせいで大変なんです!』
いつもはしっかりしているのに仕事の事になるとこうだ。
よりトントンのために頑張ろうと思える。
私が机に資料を置こうと近づくと彼が立ち上がった。
「休憩は必要だゾ。ほら、あーん」
そして私にチョコを差し出す。
あーん、じゃなくてよ。
『いらないで……んぐ』
「いいから食べとけって。美味しいやろ?」
無理矢理押し込まれたチョコレート。
私がそれを吐き出すとでも思ったのかグルッペンの指は私の口に触れたまま。
手袋を外しているからほんのり温かい。
……流石に食べたもの吐き出すなんてしないんだけどな。
『……?』
口の中で甘いチョコを転がしていると、グルッペンが私の唇を指でなぞった。
何か言いたいけど今は口のがチョコで大変なことになっているから出来ない。
そう考えている間もグルッペンは触ることをやめない。
「……」
グルッペンは、目を細めて……私を見つめている。
優しい目で、壊れ物を触るような手つきで……私の頬に指を動かす。
頬に触れたグルッペンの手のひらはいつもより温かく感じた。
口の中のチョコが無くなり、彼の名前を呼ぶが、まだどこかぼうっとしてる。
ふと頭によぎったその可能性。
それを否定していると、グルッペンの顔が近づいてきて……。
「グルさーん、この国の資料なんやけど……」
『「……」』
デジャヴを感じさせるトントンの登場でグルッペンの動きが止まった。
数秒間、見つめ合う二人。トントンは私にも目を向けて、そしてグルッペンを睨みつけた。
「……何してるんですかねぇ」
その一言で私から離れる手。
弁解しようとするグルッペンの言葉はあまり意味のないように思えた。
トントンの眉間の皺が一向に減らない。
……もしあのままだったら本当に?
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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時