第四十章 ページ40
パーティー当日。
会場場所はここから片道一時間半程の国らしい。
着替えてからの移動だからキツいな。
といっても私がお願いしたドレスは肌の露出が少ない、比較的楽な物。
大先生やコネシマからはもっと奇抜なのを進められたけどお断りした。
似合わないものを着ても哀れに思われちゃうだけだからね。
使用人さんのおまかせで髪型もセットしてもらった。
楽しそうに私の髪をいじってたなぁ。
結果として満足できる出来栄えだったようで、使用人さんは幸せそうに笑った。
ゾムやトントン、グルッペンも似合ってるって言ってくれたから何も文句はないんだけどね。
・
パーティー会場には大勢の人で溢れかえっていた。
流石、すべての国から人が集まるパーティーだ。
……私に大した地位は無いから邪魔にならない場所で大人しくしておこう。
「A、どこ行くん」
『えっと、邪魔にならないようなとこ?』
「一人じゃ危ないやろ。俺もついていくから」
そう言ってゾムは私の腕を掴み、人を避けながら進んでいく。
奥に来すぎて他のみんなとはぐれてしまったけど……邪魔にはならなさそう。
『ありがとう。ゾムは挨拶して回らないの?』
「あー、そういうのだるいやん。俺はええ」
『ゾムらしいね……』
そう言いながらさりげなく人込みの方に立ってくれるゾムを見る。
普段のパーカー姿ではなく、正装。
髪も若干セットしてあるみたいで、いつもよりカッコいい。
『ゾムのそういう恰好、新鮮だね』
「動きづらくて嫌やけどな」
『でも似合ってるよ。すごくカッコいい』
「……っ」
思ったことをそのまま伝えるとゾムは顔を赤くさせた。
……そんなピュアな反応するんだ。
「Aも……に、似合ってるで」
照れ隠しか、そう言ったゾムにありがとうと返すと、何故か悔しそうに顔をしかめた。
私が照れてないと思ったからかな。でも素直に嬉しいんだよ?
「お、二人ともみ〜っけ」
『あ、大先生』
「何の用やねん」
「こっわ。そんなに睨まんとってよ〜」
大先生はいつものヨレヨレのスーツじゃなく、キチッとしたスーツ。
煙草も吸ってないから、普通にカッコよかった。
そう言うとゾムがものすごく不機嫌になったので口を閉じる。
「大先生、そういえば今年はあの女とおらんのか」
「今年は来てないみたいなんよ。助かったわ〜、マジ」
ゾムたちの会話をぼんやり聞きつつ、薄っぺらい笑顔を張り付けている人々を見ないように私は足元に視線を落とした。
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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時