検索窓
今日:1 hit、昨日:21 hit、合計:115,415 hit

第三十五章 ページ35

戦争も無事に終わり、今まで通り仕事に囲まれる。
前より増えたけど夕方ぐらいには終わらせられていた。
随分と慣れたものだ。


今日の分の仕事を終えた私は資料作成に使った本を返しに書斎に向かう。
たくさんの本があって落ち着くそこには高確率であの人が居る。
私の足が軽いのは仕事が終わったこともあるけど、その人とのお話が楽しみだから、というのが大きい。


『失礼します』

「あ、Aちゃん。仕事お疲れめう」

『めうめう!ありがとう、オスマン』


そう、博識で優しい雰囲気のオスマンとのお喋りはとても大好きだ。
なんというか、落ち着く。
紅茶について教えてもらってからはさらに仲良くなれたと思う。


「紅茶、トントンに気に入ってもらえたみたいやね」

『うん、オスマンのお陰!』

「嬉しいめう。あー、トントンが羨ましいわ」

『言ってくれれば淹れるよ?』

「お願いしたいけど……トントンが怒っちゃうから我慢するめう」

『ふふっ、それにオスマンは自分で淹れるほうが美味しいもんね?』


そう言ってみると満更でもなさそうにオスマンは微笑んだ。
そして机で何かを準備し始める。
それが何か分かった私は並んでいる椅子の一つに座った。
少しして漂ってくる甘くていい香り。これはジャスミンかな。


「はい、どうぞ〜」

『ありがとう!』


カシャ、と小さな音を立てて私の前にティーカップが置かれる。
いつものようにとってもお洒落なティーセット。
私の目の前に座ったオスマンにいただきます、と伝えて一口。
……うむ、やっぱり敵わないなぁ。


「甘いもの用意しとけばよかったかな」

『これだけで十分な気もするけど……そうだね。今度は持ってくるよ』

「俺も用意しとくめう」


カップを口に運ぶオスマンはすごく絵になる。見惚れちゃうぐらい。


「Aちゃん、聞きたいことあるんやけど、いい?」

『うん、なに?』

「Aちゃんの故郷ってどんなとこやったんかなって思ってさ」

『私の?うーんそうだなぁ』


大分眠くなってきた頭で久しぶりにあの村を思い出してみる。
鮮明、とはいかないもののぼんやりと……。
村が無くなったのは六年ぐらい前なのに忘れるの早いな。
でも、憶えているのは確か……


『結構大きい村でね、村人たちはそこそこ裕福だったよ』

「そこそこでも村で裕福なのは珍しいなぁ」

『まぁ、理由は周りの国からやって来る商人のお陰だよ』

「商人?どこからの?」

『……ルンズェとラギア。両方からの』

第三十六章→←第三十四章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
189人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。