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第三十一章 ページ31

トントンside


「ふわぁ……っ」


日付が変わってからさらに二時間が経つ頃。
目の前に山積みにていた資料の山がすべて別の机に移動した。
つまり、仕事が終わった。
無意識に出た大きな欠伸が眠気を誘う。このまま寝てしまいたい気分。


『お疲れ、トントン』

「……ん?おぉ、ありがとな」


自分も疲れてるだろうに、Aは言葉をかけながら紅茶を用意してくれた。
淹れたての紅茶の匂いが疲れた精神を落ち着かせてくれる。
ホンマに気が利くで……。


『カモミールティー。落ち着くでしょ?』


自分の分も注ぎ、俺の向かい側に座った。
肯定の言葉を返しながら一口飲む。彼女らしい、優しい味だ。


「美味しいわ。淹れるの上手いんやな」

『ふふ、この前オスマンに教わったの。口に合って何より』


なるほど、オスマンに教わったんか。あいつは俺たちの中で一番上手いからな。
Aが紅茶の淹れ方を教わったきっかけが俺のため、とかっだったら最高に嬉しいんやけど……。


『仕事で疲れてるトントンのために教わったんだよ?』

「……ん、え?それ、ホンマ?」


ホンマホンマ、と照れくさそうに笑うA。
なんというか……もう……ヤバい。可愛い。
同じ紅茶のはずなのにさっきより美味しく感じる。
俺のために……そう考えると自分でも気持ち悪いほど顔が緩む。
あぁ〜、幸せだ。


『疲れた時とかいつでも言ってね?』

「ん、なにを?」

『紅茶とか……淹れるから、さ』


あんまり無理しないでね、とAは目を逸らした。
その目線の先には何もない。
単純な俺はたったそれだけのことで、いとも簡単にときめいてしまう。


「そうやな、今度から頼むわ」


内心、はしゃぎそうな程嬉しいのを隠して約束を取り付ける。
優しい彼女の事だからその内他の奴にも淹れるようになるんやろうけど。
少しの間は、俺だけの特権。


そのくらいの贅沢は許されるよな?




。・*・。・*・。・*・。・*・。・*・。・*・。
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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時

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