第二十九章 ページ29
No side
総統室には総統と書記長、そして指揮官の三名がいた。
指揮官だが、彼は情報管理や防衛の第一人者であるため定まった役職名はない。
その低めの身長と天と書かれた布の下に見える幼さの残った顔から、
おそらく彼を初めて見た者は彼を侮るかもしれない。
しかし未だにこの国が負けを知らないのは圧倒的な戦闘力があるお陰でもあるが、なにより何人たりとも侵入を許さないこの国の防衛にあった。
この国のすべてを管理し、監視し、的確に、迅速に報告する。
彼こそが、この国の目。
だとすれば、冷静な判断と知識を持つ書記長はこの国の理性。
他人の可能性を見いだし人を従わせるカリスマに溢れた総統はこの国の知性。
最高峰の人材が集うこの国は、我々国。
「何か情報は？」
低い声で総統が口を開く。それに返したのは指揮官。
「それらしいのは何にもなかったわ。気になったのはルンズェの国ともう一つ、その隣のラギア国が頻繁に戦争してるってことや。それで幾つも村が消滅しとる」
「…………」
「グルッペンの話やと、確かAの村は戦争に巻き込まれて無くなったんやったんよな？Aの話に嘘はなさそうやけど……Aを追っていたのはそのどちらかの国か？」
書記長が指揮官の報告に言葉を重ねる。
彼らが総統から聞いた話は彼女が目を覚ました時に話した内容だった。
彼女が遠く離れた場所から逃げてきた理由、負傷していた理由。
……そのどれにもまだ明確な答えは出せないでいた。
仲間に向かい入れた時からそのあたりの疑問は持っていたが、そこまで重要でないと思われていた。しかし会議室で見せた彼女の豹変。疑うわけではないが、彼女は何かを隠している、と思うしかなかった。
「……その可能性が高い、と思うしか出来ないな。今は」
そう言いながら総統は窓の外、下の方に視線をやる。
書記長もそのあとを追って同じところに視線を向けた。
その場所には幹部の二人と、今話に上がっていた彼女が見えた。
どうやら二人の幹部の訓練を見守っているようだ。
しかし、次の瞬間一人の幹部の手から木刀が滑り、彼女の方に飛んでいく。
この場で叫んでも意味はないが、危ないと書記長が叫ぶ＿＿前に。
彼女は難なくそれを掴み、止めて見せた。
その後ろにはこの国で一番の戦闘員の姿も見える。
「ゾムと同時……！？」
「……」
戦闘は出来ない。彼女のその言葉は本当なのか。
総統は一人微笑み、目を細めた。
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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます！様！？私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー！！ (2017年9月3日 17時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ！！リノ様の文章力で妄想が止まりませんｗｗ これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(＊ﾟ∀ﾟ)ｂ (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます！嬉しいですー！私自身、最初読み間違えたんですよ（笑）、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます！ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです！ (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年8月21日 13時
