第十九章 ページ19
晴天とはいかないものの、十分に天気のいい日が続くここ最近。
みんなと関わることが少ないな、と感じながらも仕事に精を出していた。
そのかいあって、ちょくちょく遊びに来るゾムや、部屋を覗きに来ては速攻でトントンに連行されるグルッペンの相手をしながらでもノルマを超えられるぐらいになれたのはとても喜ばしい。
そんな仕事人間に近づいてきた私が、今何故中庭の木陰でのんびりしているのかというと。
実はお休みをもらったんです。
つまり、今日一日は暇なんですよ。
しかし、この国に招き入れられてからというもの、ずっと仕事ばっかりだったから、これといってすることがないのが現状。
だからと言って仕事手伝うよーってトントンに言えば怒られる。
休みはちゃんと休め!って。
彼なりの優しさなんだろうけど。
「A〜」
程よい睡魔に包まれ始めた時、目の前に逆さまの大きな顔が現れた。
吐息が当たる程に近い、顔が……。
『うわあああぁっ!?』
「うおっなんや」
『な、なんやじゃないよびっくりしたぁ……』
軽い身のこなしでスタっと地面に降りるゾムに文句言いながらバクバクいう心臓を抑える。
いきなり目の前に顔があるなんてどんなホラーなの。
あーもうホントにびっくりした。
「ん、ドキドキした?」
ニヤニヤと、それでも爽やかな笑顔でゾムが私の前にしゃがんだ。
ゾムもグルッペンに似てこういうところが子供っぽい。
私はさっきの自分の驚き様を思い出し、恥ずかしくなる。
『ど、ドキドキした、よ……!!』
「え?あ……おう」
思い返す度に恥ずかしい。
熱のこもる頬を両手で覆い、俯く。
うー、と唸っているとゾムが口を開いた。
「Aはこんなところで何してんの?もしかして暇?」
『え、うん。もしかしなくても……休みだし』
そう答えるとゾムがあからさまに嬉しそうになる。
嬉々として私に笑いかけ、
「なら一緒に城下町行ってみん?」
と誘ってくれた。
することもないし、なにより私も行ってみたいと思っていたから嬉しい。
実はお城の外には出たことなかったからね。
「んじゃ、早速行こうや!」
『うん!』
まだお昼前だからたくさん見て回れるなぁ。
とっても楽しみだ。
(……ドキドキしたとか、顔赤くして言われたら俺までドキドキするやんか。
多分意味は違うんやろうけどな……)
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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時