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第十八章 ページ18

グルッペンside


Aを連れてやってきたのは俺の自室。
総統室じゃないのはトントンに見つかる可能性が高いから。
部屋に入ってからAが少し息切れしているのに気付く。
自分でも知らないうちに進むスピードが速くなっていたらしい。


『はぁ……ッ。どうしたの……?』
「…………」


上目遣いの困り顔。
わざとでは無いんだろうが、だからこそ……。


俺はベッドに座り、何もわかっていない彼女を引き寄せる。
膝の上に座らせてその小さな背中を後ろから抱きしめた。
落ち着く匂い、自分よりも少し高い体温、柔らかい髪。
力を込めて抱きしめれば壊れてしまいそうな……。


『え、と……グルッペン?』


くすぐったいよ、と困ったように笑う彼女が愛らしくてずっとこのままでいたいと思う。
そうすれば、彼女が俺のことを考えてくれるから。
少しでもAの中に俺という存在を残したくて。
ああ……愛おしい。


『グルッペン、グルッペン?』
「……もうちょっと、このままがいい」
『あ、あの……』


本当は永遠にこのままがいいのだが。
そう思いながらまだ反論してくる彼女をさらにぎゅっと抱きしめる。
すると、もぞもぞと逃れようとするから、余計に離したくなくなって……。


「痛ってっ」


突然腕を凄い力でつねられた。
あまりの痛みに腕の力を緩めると、するりと抜けていく温もり。


「何するんだA……」
「こっちのセリフや、何してんねん」


聞こえるはずない声。
恐る恐る顔を上げると、片手でAを抱きしめるトントン。
その表情には俺がさぼっていた時よりも強い怒りが表れていた。


この後めちゃくちゃに叱られたのは想像に難くないだろう。

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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時

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