第十三章 ページ13
『凄い!!これひとらんが育てたの?』
絶賛興奮気味の私の目の前には、たくさんの農作物。
しかも収穫されたものじゃなく、苗についたままのもの。
艶もよくて大きいそれらは一目見ただけでしっかりと手入れされているのがわかる。
それに加えて……
『この馬はひとらんの馬?』
白くて綺麗な毛並みの馬がいた。
恐る恐る近づいてみるとその馬は警戒することなく……額を私にすりつけてくる。
「外道丸だよ」
『外道丸……!優しい子だね』
頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めた。
ひとらんも私の隣に並んで外道丸を撫でる。
その横顔を見ながら私は何気なく呟く。
『動物は飼い主に似るっていうよね』
「そうかな?」
『うん、外道丸もひとらんも、とっても優しい』
「……あ、ありがと」
照れくさそうにひとらんは下を向く。
白い彼のほんのり赤くなった頬はよく目立っていた。
「お、Aー、ひとらんらーん!!」
ほのぼのと動物と戯れていると、動物が逃げてしまいそうな程の大声で名前を呼ばれた。
声の方を見ると、相変わらず元気そうなコネシマさんと赤いニット帽をかぶったくせっ毛の人がこちらに手を振りながら歩いてきて来るのが見える。
『コネシマさん。……と……』
ニット帽さんの名前がわからないのでそういう雰囲気を出してみる。
彼はそれをなんとなく感じ取ってくれたようで、口を__
「わっはっはっは!お前、まだ名前憶えてもらってないんか!流石不人気やな!!」
__開く前に、コネシマさんの煽りが炸裂した。
ピキッと空気が凍り付いたのを感じる。
……外道丸が怯えたように私に身を寄せてきた。
「あぁん?なんやとコラやるんかおぉん?」
「なんやコラ、図星なんやろ?」
「違うし、全然違うし」
「シャオローン、負け惜しみはみっともないで?」
「……は?」
バチバチと火花を散らすような二人の喧嘩。
仲がいいからこそのものだと思うけどこれじゃきりがない。
外道丸も怯えちゃってるし……。
私は勇気を振り絞って二人に近づき、袖口を軽く引っ張って。
『コネシマさん、シャオロンさん……や、やめましょう?』
二人共の名前を呼んだ。
近づいて実感したのは二人共背が結構高いということ。
体格も良いから、男の人だなぁってすごく思えた。
「あ、おう……」
「そう、やな」
別々の方向に視線を逸らす二人。
ひとらんといいこの二人といい、どうやら今日は私が思っている以上に暑いらしい。
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リノ(プロフ) - 本田大和さん、ありがとうございます!様!?私の妄想に共感して下って嬉しい限りですー!! (2017年9月3日 17時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - きゃあああーーーっ!!リノ様の文章力で妄想が止まりませんww これから誰と絡んでいくのか楽しみで仕方がありません(*゚∀゚)b (2017年9月3日 10時) (レス) id: ed9a366666 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 夏海さん、ありがとうございます!嬉しいですー!私自身、最初読み間違えたんですよ(笑)、 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 話のテンポがすごく好きです。そして「ボロボロさん」には草を禁じ得ない笑 (2017年8月30日 23時) (レス) id: 8f3bd46b36 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - リホさん、ありがとうございます!ありがちな話ですけど楽しんでいただければ幸いです! (2017年8月29日 10時) (レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リノ | 作成日時:2017年8月21日 13時