【銀魂】紫煙の奥の君を愛す。【土方十四郎】 (ページ15)

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12話ページ15

あれから2年が経ち、Aは20歳の誕生日を1ヶ月後に控えることとなった。

日に日に笑顔が減っていくA。
それでも隊士達に悟られないよう、いつもニコニコと愛想笑いをしている。

それが偽りの笑顔なのも、
それが偽りの元気なのも、
俺には全て分かった。

助けたい、助けたい、助けたい…
そう思っても、事実今の今まで何も出来なかった。

俺はなんて無力なんだ。
間も無くAが20歳を迎えるとあってお祝い
ムード、テンションが高い隊士達とは反比例し、
無理して笑うAはとても疲れているように見えた。

惚れてもない相手と共に生き共に死ぬなんて、私は御免です。

あの時Aはそう言っていた。
許婚っていうのはそんなもんなんだろうが。

何も出来ず、遂に1ヶ月が経ち、Aの20歳の誕生日を迎えた。

俺の予想通り、屯所の扉が鳴る。
Aがそれに反応し、少しばかり顔を歪めながらも扉を開けた。

代わりに出てやろうかとも思ったが、今俺が首を
突っ込むべきではないと、そう思った。

暫くすると、玄関から聞こえて来た話し声が大きくなってくる。

「ほら、早く行こうA。父さん達も…
銀時さんだって待ってるんだから」

「…やっぱり無理です、私には…
裏央さんの妻になんか、なれやしない」

「そんな事ないよ、むしろ俺はAが良いんだ。
Aじゃなきゃダメ。だからさ、ね？」

首を突っ込むな土方。耐えろ土方。
今お前が出て行ったらとんでもない事になる。
Aに迷惑をかけても良いのか？

必死に自分に言い聞かせたが、不安げて苦しそうな
Aの声を聞き、衝動的に体が動いていた。

「おい…A嫌がってるだろうが。それでも無理やり連れてくつもりか？てめェ、それでも男かよ」

やってしまった。
何やってんの。俺は阿呆か。

「ひ、土方さん…？」

「土方…ああ、この間の。あの時はどうも。」

ほんの一瞬訝しげに俺を見た裏央は、そのあと
その表情が嘘のようににこやかに笑う。

「でも、Aはもう俺の妻なんですよ。そういう
約束なんです。だから色々と言うのはやめてください。親父ですか」

…全くその通りだ。
ただ自分が惚れた相手だからといって、あれこれ
口煩く…大きなお世話だろう。