11話(銀時side) ページ14
冗談じゃねえ。
俺は、裏央に「Aに会いたいので、一緒に来てもらっていいですか?というか、来てください」と
無理やり屯所に連れていかれた。
玄関先に来たのは多串く…土方君だった。
前よりか幾分顔色が悪くなった気がするが気のせい
だろうか。
その帰り道。
「銀時さんすみません。付き合ってもらって」
「…あァ。俺は帰るから。んじゃ」
裏央に背を向け、万事屋に戻ろうとすると、
呼び止められる。
「待ってください、銀時さん。一つ聞いてもいいですか」
「んだよ。俺ジャンプ読まなくちゃいけないから
早く帰りたいんだけど」
俺はそう返す。
呼び止めるまで重要な話なのか?
「…あの土方って奴、Aの何なんですか。
銀時さんとも親しいみたいだし」
「何でもねえだろ。そもそも彼奴は女中にそう
ホイホイ惚れるような男じゃないしな。」
そうですか、と言う裏央に再び背を向け、
それからそこを去る前に言った。
「_最も、女中だのそういうの抜きに、惚れる時には本気で惚れるだろうがな。それが自分と一生を共にしてくれる相手なら、例え結婚相手が居ようと」
誰にも気付かれないようにやりと笑い、そのまま
万事屋に戻った。
裏央は呆然としている。
「_A_」
そんな裏央の呟きは、虚しく風に溶けた。
「銀ちゃん、お帰りアルヨ。ご飯まだアルカ」
「お帰りなさい、銀さん。神楽ちゃん、今ご飯作ってるから待っててね。」
「あっそ。さっさと作るヨロシ、駄眼鏡」
「ひっど!!」
「ただいま、新八、神楽。」
こいつらは本当にいつも通りだな…
この意味の無い不毛なやり取り、なんだか安心する。
それにしても、土方君曰く、最近Aの元気が無いようだが大丈夫なのだろうか。
心配で心配で仕方がなかった。
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作者名:今井李乃 | 作成日時:2018年10月5日 21時