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第58話 ページ10

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土方「そいつか?そいつは…総悟の、姉貴

で。ただの知り合いだ。…もうこの世にはいな

いが、な。」


どこか自分に言い聞かせるように言う土方さん。なんでもない体を装っているが、その横顔は色濃く辛さや悲しみが滲み出ている。


…そんな顔。ただの知り合いにする顔じゃにゃー。


やっぱり何か特別な感情があるとばい。
ドロっと心の中に黒い塊がせり上がるのをおさえこみ、わざと明るく聞き返す。


「そがんだったとですか!どことなく似とるで

すもんね!」


土方「あァ、確かに似てるな。」


「こがん綺麗なあねじょかぁ。どがん人だった

とですか?」


土方「…そうだな、」


少し言葉に詰まった土方さんだったが、ポツリポツリと話し始めた。



ミツバという名前だという事。

超辛党で手に負えない事。

ブシュウでいつも甲斐甲斐しく自分たちに世話を焼いてくれた、面倒見が良い事。気がきく事。

沖田さんを大切にしていて、沖田さんもべったり懐いていた事。

優しくておしとやかなのに芯は強い事。

でもいつもは天然な事。



ゆっくりと言葉を紡ぐその横顔には、先ほどの影なんかどこにも無くて。

無意識なんだろうが、
口元に笑みを浮かべて、懐かしそうに、愛おしそうに写真を見つめる。
…その姿は、さっきまでの自分と嫌になるぐらい重なって。


土方「コイツ、何処と無くテメーに似てん

だ。団子美味そうに食べるところとかな。だか

ら、いつも思い出しちまう。」


テメーとは真逆だが、と笑う。
うちはこないだうちを見たあの目を思い出す。

…あぁ、あれはうちに向けてたんじゃないんだ。ミツバさんに向けてたんだ。

何故か冷静に考えられる自分に驚いているが。


「そんな顔して…ミツバさんの事大好きとです

ね!」


なんておちょくれば。…少し顔を俯かせてそんな資格ねぇよ、なんて。
でも、目は口ほどに物を言うって本当だったんだな。


うちの淡い想いがあっけなくガラガラと崩れていくのを感じた。
あーあ、壊れちゃったばい。
なんて強がってみても、心臓が張り裂けそうで。込み上げて来るナニかを必死に押し殺して立ち上がった。


さ、思い出の邪魔したらいかんね!


「土方さん、うち眠くなってきたけん帰るで

す!」


土方「目ぇ真っ赤じゃねーか!すまねぇ、眠く

なる話しちまったな。」


「いやいやぁ、楽しかったですばい!」


じゃあ、と傘を振って駆け出すうちを、ちょっと待て、と引き止める。

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設定タグ:銀魂 , クォーター , サボタージュ   
作品ジャンル:アニメ
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サボタージュ - 暫くお待ちくださると幸いです!また戻ってきます!! サボタージュでした。 (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
サボタージュ - ということで、私のこの作品が長らく更新できませんでした。また新しくこちらでアカウントを作るか、新しい方でまた引き継いで更新するかのどちらかの方法をまた考えますので (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
サボタージュ - 私の携帯を新しくしたのですが、使用制限をかけられて、閲覧はできるのに編集ができなくなってしまったのです。だから、本編の方にこれを書き込むことも出来ず…。仕方なくこちらに書き込んでいます。 (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
サボタージュ - 皆さまこんにちは。サボタージュです。今回は、こちらから失礼させて頂きます。実は (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 堕天使さん» 共感できて今めっちゃ気分軽くなった笑笑…ショック過ぎて暫く放心状態だったよ…。今は大分思い出してきたから、今からガッツリ更新するつもり。また寝ないように気ぃつける!! (2018年2月13日 22時) (レス) id: 59bcac2972 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サボタージュ | 作成日時:2018年1月4日 23時

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