第72話 ページ24
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「…しまっとる」
これで何軒目だろうか。かぶき町を隅から隅まで探して見ても、良い宿屋は無かった。
大抵閉まっているか、満室か。
日本の雪は綺麗だから、多くの天人が泊まっているらしく、いく先々で断られるか、Uターンするか。
「…ラブホは嫌だしたい…。」
流石はかぶき町。
煌々と光っているのはどぎついラブホばかり。
うちも泊まれたらどこでもいいという訳ではなく、ちゃんとした所が良い。
女1人でラブホとか馬鹿ばい!
「…どがんすっかなぁ。」
ブスーッとしながら歩く。
道行く人の数が減り、今ではチラホラとしか見えていない。今から妙ちゃんとこに行くにも無理があるし、
迷子申請で真選組に…いや、嫌だ。
「…ま、大丈夫か。1日くらい。」
とりあえずマントもあるし、ズボンも履いてるし。野宿でも良いかな?した事あるし。
そう前向きに考えても、寒いしやっぱなんかセンチメンタル。フッと顔が翳った。
しかしブンブンと頭を振りその考えを打ち消す。
「…大丈夫、大丈夫。」
寂しくなんか無い。そう呟いて、足を早めた。
…でも、やっぱ喧嘩せんどけば良かったな、なんて。
ーーーーー
「…ぅう…。」
何処かのシャッターの前でマントにくるまり、ブルブルと震えた。
先程、この店の女将さんから一杯だけ暖かいお酒をもらった。
そこまでするなら一晩泊めてけぇば良かとに。
というのは飲み込んだけれど。
お陰で体がポカポカしているし、まぁ眠れそうかな、なんて思っていたけど、心が寒くて
やっぱり眠れなかった。
「銀ちゃんのばか…。」
思わず口をついて出たのがこの言葉。
だって喧嘩せんどけば今頃ぬくぬく寝たいられたのに。
思わずイラッと来たが、先程のように着火はしなかった。その代わり、フッと西郷のマミーの
言葉が蘇る。
西郷『パー子はあんなんだけどさ、アンタ。
意地はるんじゃなくて素直になって見るのも大
事なことなんだよ?』
その時は別に意地はって無かったけど、今は…
グルグルと鳴ったお腹をさする。
「…お腹空いた。」
そういえば、ご飯食べてなかったな。
今日のご飯なんだったとだろう?
今頃はもう食べ終わっとるよね。美味しかったかな?銀ちゃんが作ったのかな。
…銀ちゃんの、手料理。
「……食べたかった…。」
素直になることも、大事。西郷のマミーの言葉が今ならわかる。
あの時、飛び出さなければ。
まぁ、銀ちゃんが悪いけど。でも、うちも飲み干さなければ。
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サボタージュ - 暫くお待ちくださると幸いです!また戻ってきます!! サボタージュでした。 (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
サボタージュ - ということで、私のこの作品が長らく更新できませんでした。また新しくこちらでアカウントを作るか、新しい方でまた引き継いで更新するかのどちらかの方法をまた考えますので (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
サボタージュ - 私の携帯を新しくしたのですが、使用制限をかけられて、閲覧はできるのに編集ができなくなってしまったのです。だから、本編の方にこれを書き込むことも出来ず…。仕方なくこちらに書き込んでいます。 (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
サボタージュ - 皆さまこんにちは。サボタージュです。今回は、こちらから失礼させて頂きます。実は (2018年4月1日 11時) (レス) id: 8f5da762da (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 堕天使さん» 共感できて今めっちゃ気分軽くなった笑笑…ショック過ぎて暫く放心状態だったよ…。今は大分思い出してきたから、今からガッツリ更新するつもり。また寝ないように気ぃつける!! (2018年2月13日 22時) (レス) id: 59bcac2972 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サボタージュ | 作成日時:2018年1月4日 23時