第十四話：武器人間 ページ15
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「おい太宰！あの小僧が入社するのは千歩譲って判るが、何故小娘も道連れにする」
カッと口を開けて国木田は問い詰める。
たたや太宰は、「さて何から話そうか」と云わんばかりに思考するように首を傾げた。
「───昔、こんな事が新聞に載っていた」
突拍子の無い事を話し出す太宰に、国木田は怪訝そうに眼鏡越しに目を細めた。
そんな彼を気にも止めず、太宰は淡々と語り始める。
「戦後、軍が行った人体実験の記述だった。
軍は異能と既存の人間を組み合わせて、
軍事用人工異能者を作っていたらしい。
媒体として身寄りのない“戦災孤児”を実験施設に詰め込み、壊れるまで実験に使われる。
その実験があまりにも酷かった所為か、
“実験体の孤児全員が死亡した”
....かと思われていたが、
生き残りの一人の少女が施設を“爆破”して逃げ出し、それらの事実を記者に告発していた。
その告発により、軍の非人道的な実験は公になった。
新聞やテレビがそれを報道するなり一時期話題になり、加えて“
話を途中で止めると、太宰は国木田の方に向き合った。
「....国木田君。君、Aちゃんの顔を何処かで見たような気がすると云っていただろう？」
「...確かにそう云ったが」
だから何だ？とばかりに国木田は顔を顰める。
「君は、あの時の新聞かテレビかを読んでいた。そして、あの少女の写真も見ていた。
公開された写真の少女は黒髪、鉛色の眼をしていた。
彼女も黒髪、鉛色の眼をしている。
だから、少女の写真と彼女の顔立ちに親近感を抱いた君は、茶屋で彼女の顔を見たことがある気がする。と云った」
確信めいた表情で、太宰は微笑む。
一方で国木田は雪崩のように脳に入る情報をまとめようと、こめかみに指を当てながら口を開く。
「つまり...お前が云いたいのは...この小娘が、あの時記者に告発した実験体の少女だと？」
「そう云うことだね」
戦災孤児だと。出自を訊いた時に彼女はそう云っていた。
人体実験に使われたのも、戦災孤児。
加えてあの異能。
少女は逃げ出す為に施設を爆破したらしいが、彼女があの異能で爆破したと云うのなら納得がいく。
「彼女があの告発した少女で間違い無い。
軍が国家に尽くすために作った戦士───────
「武器人間」と呼ばれた唯一の生き残りだ」
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作者名：椿 | 作成日時：2024年4月16日 20時
