▽ kn side ページ16
kn side
俯いて少し涙目になっている大先生。
その瞳の色はいつも以上に濁っている。
下手をすると…此奴が壊れてしまった時に大分近い。
俺はそんな大先生の―
.
.
―頭を思いっきり引っ叩いた。
バシッ！！っといい音が鳴る。
痛みと驚きで思わず顔を上げる大先生。
ut「ったぁ！？な、何すんねんシッマ！」
精神的にだいぶキとる癖に何時もと変わらない文句を言ってくる大先生に、思わず笑いが込み上げてくる。
kn「ふっ。アーッハッハッハッ！！」
ut「！？」
急に笑い出す俺に訳が分からないと呆気に取られる大先生。
それも面白かったがとりあえず抑えてまた…今度は軽く頭を叩く。
ut「ちょ、だから何…」
憮然と睨んでくる大先生に、俺は真顔になってズイッと顔を近づけた。
ut「！」
kn「なあ大先生。俺らが一度でも思い出さんかったら良かったなんて言うたか？」
ut「…」
kn「俺はな、思い出せて良かったって思っとる。あの頃の記憶は俺にとって大事な宝や。確かに嫌な事だってあったかもしれん。それでも…そっちを取るより最高の仲間と過ごした時間のが大事やろが」
ut「…でも」
kn「それにな。無責任？知るかそんなん。何でお前がそんな責任負ってんねん。それだけお前がAを大事に思っとったっちゅう事やろが。逃げた？逃げるのの何があかんねん。それだけ大事に思っとった存在が急におらんくなったって知らされたらダメージなんて計り知れんやろ。その事がお前の責任なんてない。Aの事はちゃんと見とらんかった俺らのせいや。お前は何も悪くないねん」
ut「そんな…事…」
kn「けどな。それを今負うのはちゃうやろ。今アイツはちゃんと生きとる。俺らも。なら今やる事は何や？後悔する事か？責任を勝手に感じて止まる事か？ちゃうやろ？なら楽しい事だけ思い出しといたらええねん。そんで…今度こそアイツを守るし俺らも死なん。寿命が尽きるまで、生きて生きて一緒におるんや。そうやろ？」
ut「…シッマ」
kn「なあ大先生。お前は記憶持っとって嫌やって思ったか？」
俺の問いにふるふると首を振る大先生。
顔を上げたその目には、いつもの光が戻って。
ut「思う訳ないやん。一生で一番大事な仲間と女に出会えた記憶やで」
kn「せやろ？ならまたその仲間と女と、また新しい記憶を一杯作ってったらええんや」
ut「せやな。…シッマ」
kn「おん？」
ut「ありがと。話して良かったわ」
kn「せやろ！」
俺はニッと笑ってそれに応えた。
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淋(プロフ) - 宙さん» コメントありがとうございます！神作と言っていただけて嬉しいです…！(/ω＼) (2020年10月10日 19時) (
レス) id: 7bc11c6066 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 神作(合掌) (2020年10月10日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - 鈴さん» コメントと応援のお言葉ありがとうございます！飽きずに読んでくださって嬉しい限りです(/ω＼)最後まで頑張って走り切りたいと思います！ (2020年8月22日 11時) (レス) id: 7bc11c6066 (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - 零~REI~さん» 嬉しいお言葉とお気遣いくださりありがとうございます！ファン…！凄く嬉しいです！(/ω＼)無事に解決いたしました！また頑張って更新していきますのでまたよろしくお願い致します！ (2020年8月22日 11時) (レス) id: 7bc11c6066 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - コメント失礼します。この作品、飽きずにずっと読んでます。淋さん、無理せず頑張って下さい！応援しています。 (2020年8月21日 22時) (レス) id: a6f1602c22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：淋 | 作成日時：2020年7月21日 17時
