晴天。 ページ1
嫌になるぐらいに、今日は日差しが強かった。こんな日は体育の授業なんてしたくないな、ふと、そんなことを考えていた。
「なあ、佐藤さん、さとーさん。佐藤さん。」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。完全に別のことを考えていたので、トントンと叩かれて、ようやく呼ばれてることに気づいた。
「あ、すみません、何かご用がありましたか?」
「違うよ、プリント前から、来てる。」
「っあ、すみません、すみません。すぐ回しますね。」
なんてアホなことをしてしまったのだろう。転校して初日に、前からプリントを回せと訴えかけられてるのも気づかず、挙げ句の果てには、後ろから呼ばれるって。思わず顔が熱くなってしまった。空いてる穴があればすぐに入りたいくらいに。
キーンコーンカーンコーン。
あ、チャイム。
授業が終わって、休み時間になった。転校初日だけれども、全然友達は出来ていなくて、漫画にありがちな、転校生が来たら質問攻めにして、周りに人が集まってくるというやつ。
あれは、一切といっていいほど、なかった。
ほんとに、え、ぼっちじゃん私。
正直何でだと思った。中学の頃は割と友達はいた方だし、前にいた高校でも、話せる友達はいた。よく考えたときに、私は一つの結論に至った。
「あー、地元の友達のおかげか。私別に話すの、得意じゃなかったんだな。」
そう考えてみたら、すっと納得できる気がした。
他の人頼りで、いつも自分から仲良くなれない。
私って、そんなつまらない人間だったんだなと思うと笑えてきて、友達一人もできないぼっち生活かと、ちょっとだけ泣けてきたから、クラスメイトを視界に入れないように必死に窓を見つめた。
「佐藤さん」
また私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がする。
ああ、友達が欲しすぎるがあまりに、幻聴か、頭もいかれてきたのかな、と思っていると、また私の名前を呼ぶ声がする。
「佐藤さん、きこえてない?佐藤さん。」
「えっ、はい、なん、で、しょう」
「あー、よかった、聞こえてないかと思ったよ。佐藤さん、俺、国見英。後ろの席の、さっきプリント回してって、話しかけた人。」
「あーーー、その説は本当に大変申し訳ございませんでした。ご迷惑をおかけいたしました。」
「っふ、なにそれ、かしこまりすぎじゃない?タメでいいよ、さっきからぼーっとしてるから話しかけるタイミング失ってさ。」
「えっ、あー、ごめ、ん?考え事してて」
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作者名:りんご | 作成日時:2024年3月24日 23時