第5話 言えない嘘 ページ38
上田サイド
上田「おい、そこを…っ!?」
赤西「…」
お昼休憩を貰い、飯を食おうと市場に向かう途中、
俺の前に立ち塞がった男。
コイツ…昨日、隣街の商店街でテレビロケをしていた、一匹狼じゃんか。
芸能人?だというのに、何でここにいるんだ?
って、疑問に思っている場合じゃない!!
上田「ちょっと、どけよ。俺、市場に行かなきゃならねぇんだ」
冷静ながらも、少しイラッとするように言うと、一匹狼の男は「フッ…」と笑った。
上田「何がおかしい?」
またイラつくように聞くと、ソイツは少し経ってから口を開いた。
赤西「いや、別に。ちょっと、お前に興味を持ってな」
上田「俺に興味だと?どういう事だ?」
赤西「まぁ、話は俺の家に行ってからだ。ちょうど昼飯だし、ご馳走してやる」
上田「ちょっと待て。俺、13:30には戻らねぇといけないんだ。悪いが、断るぜ」
芸能人の相手なんて、してられない。
そもそも、アイツのファンじゃねぇ俺に興味を持つなんておかしいだろ。
俺は一匹狼の横を通って、市場に向かって歩き出した。
と、アイツが俺にしか聞こえない声でボソッと呟く。
赤西「お前…人間じゃないだろ」
上田「何っ…( ; ゚Д゚)!?」
額から冷や汗が流れると同時に、思わず立ち止まってしまった…。
一匹狼の男…赤西仁が運転する車に半強制で乗せられ、助手席で揺られながらアイツの家に行く事になってしまった。
赤西は「ちゃんと時間までに帰してやるから」と約束されてしまい、俺は渋々、承諾したのである。
車に乗せられてから、どれぐらい経っただろうか。
リアル脱出ゲーム並みと言われている住宅街の中に入り、
道路を走っている先に、スカイブルーの四角い建物が見えてきた。
上田「(デ、デケぇ…(;゚д゚))」
3階建てぐらい…か?
琳寧のダチである矢花によると、
赤西は海外でも人気のアーティストだって、言っていたな。
じゃあコイツ、超がつくほどのセレブって事か…?
赤西「着いたぞ」
そんなことを考えていたら、あっという間に着いてしまった。
赤西「車をガレージに入れてくるから、玄関で待っていてくれ」
上田「あぁ、分かった…」
車を下りると、赤西はそのまま運転してガレージに入っていった。
そういえば、赤西に憧れているアーティストと一緒に暮らしているって、矢花が言っていた。
まさかと思うが…?
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年4月2日 0時