第73話「友達」 ページ31
『烏丸』
「ん?」
『それ、私が頼んだデザートの筈なんだけど』
「ああ、悪い。間違えた」
『ちなみにだけど。これで間違えたの、何回目だと思う?』
「……………3回?」
ごお、と音の聞こえてきそうな程のオーラ。
それも邪悪な。
『7回目。プリンもチュロスもケーキもアイスも全部アンタに食べられてるんだけど』
「気の所為だろ。迅さんから聞いたけど、お前の例のトリガーは記憶能力の低下が副作用としてあるらしいぞ」
『まって。なにそれ、聞いてない』
「嘘だからな」
『……は?』
丁度7回目に注文されたバニラアイスを平らげた直後、烏丸は白々しい顔で嘘を訂正した。
勿論鞍瀬の理性の糸はプツッと音をたてて、綺麗に切れた。
「うおおおおぉ!?!?おいおいまてまてまてまて、鞍瀬!ここ店ん中!!それも飲食店だぞ!!暴れたら一番ダメな所だろ!!つかなんでこんなことになってんだよ!!」
空気を吸いに行っていたハズの諏訪が、物凄い勢いで鞍瀬を止めに入る。
顔が影で隠れ、目が光る鞍瀬の表情は言い表せないほどに苛立ちを隠せないでいる。
「おい雷蔵、笑ってねーで手伝えよ!!」
「いやいや、あはは。鞍瀬ってこんな怒り方すんだなーって面白くて。何でこんなになったの?」
そんな寺島の問いかけに、木崎は事のあらましを話す。
当然、寺島は再び笑いのツボに入った。
「あっははははは、なになに?鞍瀬って見かけにもよらず食い意地張ってんだね」
『誤解です。7回ですよ?』
「あ、元に戻った」
諏訪の辛抱で苛立ちを抑えた鞍瀬が、今度は寺島の発言を否定する。
『例え甘エビを食べていても、お茶を入れていても、送られてきたメッセージを読んでいたとしても、7回ですよ?』
「2回も言わなくていいだろ。記憶の問題か?」
『アンタさっきからなんなの。クラスの時と全然ちがくて苛つくんだけど』
「酔ってんだろ」
「流石にまだ酒は飲めませんよ。諏訪さん」
「すまんな、コイツは頭が悪いんだ」
「何抜かしてんだおま、風間ァ!」
学校では気が抜けないのか、ここでは変に性格が変わるのか。
鞍瀬は烏丸の豹変ぶりに暫く頭を悩ませる。
因みにデザートの強奪は8回目でようやく終わった。
『……風間さんはいつ起きたんだ……?』
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黒瀬(プロフ) - カナデさん» 返信遅くなりすみません!待って頂けたなんて凄く嬉しいです!ありがとうございます!頑張ります! (3月3日 6時) (レス) id: b8635cad8f (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - 更新再開嬉しすぎます!頑張ってくださいー!! (2月2日 2時) (レス) @page34 id: dcadc39e75 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - カナデさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんの言動は試行錯誤しているのでそう言って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2022年8月25日 6時) (レス) id: b8635cad8f (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - この夢主ちゃんの性格めっちゃ好きです。これからも作品更新頑張ってください、応援してます。 (2022年8月24日 14時) (レス) @page22 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 夏目宮さん» 申し訳ありません。ご報告ありがとうございます。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: b8635cad8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒瀬 | 作成日時:2022年6月7日 0時