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#06 ページ7

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『…まぁ、手作り弁当なんて何年も食べてなかったので正直嬉しいかもです。竜胆さん、ありがとございます』


屋上につき嫌そうな態度を示していたAだったが(主に蘭に対して)、手作り弁当に関しては断れないからというより素直に嬉しそうな様子を見せた。

相も変わらずAの表情筋は殆ど動かないが、お礼を言う時の声のトーンはいつもより僅かながら明るい。
意外にも素直にお礼を言われた竜胆は正直満更でもなく、嬉しさを隠すように後頭部を掻きながら顔を逸らし、「もーいから食うぞ」と一言。

3人横に並び壁にもたれ掛かるように座る。
その際Aはデカい男2人に挟まれる形で真ん中に座っているが、あまり気に止めていない様子。


『…いただきます』


そっと手を合わせて呟くとまずは卵焼きをひと口。


『…美味しい(私のパサパサの卵焼きと大違い)』


Aはふわふわで好みである甘めの卵焼きの美味しさに顔を綻ばせた。
彼女は久しく人の手作り料理など食べたことは無かったし、自分で作るにもあまり良い出来とは言えないものばかりだった。


「え〜、Aちゃんって笑うんだ♡」

『何言ってるんですか、私だって人間ですし笑う時は笑いますよ』


Aは一瞬でスンッと無表情に戻り、蘭を横目で見る。


「笑えばダチ出来るんじゃねーの?」

『笑えば逃げられるんですよ、なぜか』

「もう1回笑ってみ?」

『はぁ、……………』


Aは溜め息をついた後、笑った。


「ぷっ…ハハッ‪‪w なるほどね、そりゃ逃げてくわ‪w 」

「オマエに友達がいねー理由分かったわ‪w」

『笑えと言われたから笑ってあげたのに何笑ってるんですか、失礼な人達ですね』


そう、Aは溜め息をついた後笑ったのだ。(最強に下手で不気味な作り笑いである)
眉間には無意識の内に力がこもり、ニィと効果音がつきそうに口角を上げてヒクついている。

この笑顔は、人によっては馬鹿にされていると感じる者もいれば、何かを企んでいると怯える者もいるだろう。

だかしかし、当の本人にとってはあくまで愛想笑い。
彼女にも友達を作ろうと試みた時期は少しだけあったりもしたが、友達づくりの基本である笑顔を行使しても逃げられるので次第に諦めた。

一応試みたもののの、別に友達いなくても困らないよねという図太い精神を持ち合わせているため、普段は淡々と勉学に勤しんでいた彼女の成績は中学時代から殆ど学年トップである。



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お米。(プロフ) - コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!亀更新ですが見守っていただければ幸いです。ちなみに私はまだ1回目だったので一日で復活致しました(^^)ゆーらさんも早く復活する事をお祈りします<(_ _)>(もうしてるかもしれないけど) (2021年10月17日 19時) (レス) id: ef08fd2dc5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーら(プロフ) - こんばんは、凄く面白かったです!これからも頑張ってください!後私も昨日ワクチン打って二の腕死んでますw (2021年10月16日 19時) (レス) id: 0f26bdb992 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お米。 | 作成日時:2021年10月16日 9時

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