【完】君が心に棲みついて離れない【場地圭介】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:25,568 hit

9 ページ9

『う"う"…喉痛い…ｹﾞﾎｯ』

とある日のこと。
風邪引きました。季節の変わり目だから？
いやいや、まだ全然秋の気配はないですけど。
頭もガンガンするし熱は出るし喉は痛いし、体調の悪さはMAXである。ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯと体温計の音がする。

｢あら、38.7℃…高いわね。
ごめんね、診てあげたいのは山々なんだけど、お母さん今日大事な会議があって…｣

『だぃじょーぶ…行ってらっしゃい…ｹﾞﾎｯ』

｢本当にごめんね～…なるべく早く帰ってくるから。
じゃあ行ってくるね。安静にね。｣

『はーい…ｹﾞﾎｯありがと…』

そう言って閉められる私の部屋の扉。あまりのしんどさにとりあえず寝ることにした。瞼を閉じると相も変わらず頭も喉も痛いものの、意識はどっぷりと沼につかっていくかのように薄れていった。

ーーー
ーー

『…ん、』

暑さとしんどさにより寝苦しさを感じ意識が浮上する。ゆっくりと体を起こし、スポーツドリンクをちびちび飲む。

あーしんどいの全然治ってないな…。
喉はガラガラするけど痛みは引いてきたから良かった

フタを締めながらまた寝よ、とぼんやりする頭で思っているとインターホンの音が耳に入ってくる。なにか荷物でも届いたのだろうか。そう思いたどたどしい足取りでリビングへ向かう。

二階建てじゃなくて良かった…
階段とかだったらヤバかった…

リビングにあるインターホンのモニターを見ると、映っているのは場地くんの姿だった。

『え"っ』

ど、どうしよう
今パジャマだし、髪もボサボサだし

1人アワアワとしているともう一度なるインターホンの音。

『ば、場地ぐん…今開ける』

仕方なく意を決してマスクをつけ、手ぐしでササッと髪を整えて玄関へ向かうと、ゆっくりと玄関の扉を開けた。

『どーも…こんにぢは』

｢声ガラッガラだな
大丈夫かよ。見舞いに来た。
担任から預かってモノもある｣

そう言ってレジ袋を見せる場地くん。

『場地ぐ～ん…！ありがと～』

｢上がって大丈夫か？｣

『どうぞ～…』

そう言って場地くんを玄関に入れ、リビングに向かおうとする。

お客様だし、お茶だけでも出した方がいいよね

そんなことを思いながら2、3歩足を動かしたところで目眩に襲われた。ただでさえ風邪で力が入らない体は重力に逆らえず床に倒れていく。

…ばずだった。