【完】君が心に棲みついて離れない【場地圭介】 (ページ3)

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その日から私は場地くんに勉強を教えるようになった。

そもそも提出物だけでも出しておけば余程のことが無い限り留年しないことを伝えると、衝撃を受けたのか口をあんぐりとあけていた。

取り敢えず特に壊滅的な数学を教えていたが、場地くんはなかなか計算するのが遅いし、ミスも多かった。それでも最低限公式なんかは覚える努力はしていたし、教えているうちに初歩の初歩くらいは完璧にこなせるようになっていた。

勉強に関してとんでもなく不器用な場地くんだったが、一生懸命頭を抱えながら頑張ってる姿は結構可愛い。

場地くんと関わっているといろんな人に心配されたけど、そんなのどうでもよかった。だって場地くん不良らしいけど普通に良い奴だし？結構お礼とか言ってくれたりすんの。｢ありがとなっ｣ってニッて八重歯見せて笑うんだよ。可愛いかよ。

そのうち松野くんとも自然に関わるようになって仲良くなった。最初は｢場地さん、誰っすかこの人｣と言って警戒されてたけど、場地くんの良いところ言われて共感してたらすぐに心開いてくれた。松野くんチョロ可愛いかよ。

そんなこんなで気が付けば3人で下校するのがスタンダードに。私の家、2人の住んでるマンションと近かったっていう偶然。

今となっては結構心許されてると思うんだよなぁ～！
ペヤングたまに半分こしてくれるし。

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ーー

あっという間にもうすぐ夏休み、という時期に突入して今日も帰路につく。松野くんは用事があるらしく今日は2人並んで歩いている。

『はぁー、あっづい！！溶けるぅ～』

｢あぢぃ…余計暑くなるから黙っとけ｣

『場地くーん？そういう君も言ってるからな？
はぁー、もうすぐ夏休み。早く来ーい夏休み。』

｢オマエ夏休みに入った途端引きこもりになりそうだな｣

『当たり前ー、望んで灼熱の太陽の下になんていかないよ。日焼けもしたくないし。』

暑さに項垂れながら帰り道を歩いていると電柱に貼られているポスターが目に入り、通り過ぎて行く。

『……でも祭りには行こうかな』

そうポツリと小声で独り言のように呟く。
すると隣で歩いていた場地くんが足を止めた。

『ん？どうした？』

｢オマエ、誰と行くか決まってんのか｣

『え』

｢祭り｣

聞こえてたんかい。
自分にしか聞こえないような声で呟いたつもりだったんだけど。

『いや、決まってないけど』

｢じゃあ行こーぜ｣

『……誰と？』

｢オレと｣

『……マジ？』