【完】君が心に棲みついて離れない【場地圭介】 (ページ15)

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公園のすぐ側までやって来た。そこから見えるのはベンチに座ってる松野くん。私は松野くんの方へ向かって歩いて行き、ベンチの前で足を止めた。

｢…成瀬、顔やばいぞ｣

『…うるさい』

冗談めかして、松野くんは少し微笑んでそう言う。この時の彼の笑顔はいつもより弱々しく、悲しそうに見えた。

｢…まあ座れよ｣

私はそう言われて私は無言で松野くんの隣に腰を下ろした。松野くんは｢ふぅ…｣とひと息吐くと、伏し目がちなままゆっくり口を開いた。

｢場地さんがどうして死んじまったのかっていう話をする前に、オレや場地さんがオマエに言ってなかったことを言わなきゃなんなねえ

──── 成瀬、東京卍會って知ってるか？｣

…え？

『しっ、てるけど…最近よく聞くから…
暴走族だって、』

｢…ああ、オレらは…オレと場地さんは、そのチームに入ってる。そんで場地さんは、

─── 東卍とほかのチームとの抗争中に死んだんだ

それから松野くんはこんな事になってしまった経緯を話してくれた。

東卍に敵が紛れていたこと。
仲間を守るために東卍から出ていったこと。
仲間を守るために一人で戦っていたこと。
仲間を守るために、止めるために、自らの腹を刺して死んでしまったこと。

それを聞いている間、私の知らないところで起きていた出来事が、場地くんが背負っていたものが壮絶過ぎて、私は何も知らずに、心の中だったとしても場地くんを責めてしまったことを後悔していた。

｢…場地さん、オマエの前ではいつもメガネかけて髪結んだ格好だっただろ。場地さん一番隊隊長だったからさ、結構有名なんだ。オレらと関わってることが知れたらオマエが巻き込まれるかもしれねえから｣

『そう、なんだ』

勉強しない時ぐらい外せばいいのに、
そう思ったことが無かったわけではなかった。

じゃあ祭りの時はなんで
人が多いから目立たないだろうとでも思ったのか
なんにせよ、常にあの格好してたのが私の為だったなんて思わなかった

｢あとさ場地さんオマエのことで、寝てる時じゃなくて起きてる時に言えばよかったって言ってたんだけど…この言葉の意味分かるか？｣

『……起きてる時に…言えばよかった…？』

その言葉で思い出したのは私が風邪を引いて、場地くんがお見舞いに来てくれたあの日のこと。私が場地くんの前で寝たのなんて、後にも先にもあの時だけだ。