不良未満【あほの坂田】

べんきょうとかれ。 ページ4

｢A〜、これわかる〜？｣
｢これはこの公式を使ってね、ってさっき言ったでしょ？｣
｢公式ってどれやったっけ｣
｢…｣

今は放課後の教室で坂田くんとの勉強会中。と言っても私が一方的に教えてるだけだけど。
本当に授業を聞いてないだけあって坂田くんの状況は壊滅的。集中力もないのか5分おきに休憩を始めている。

｢坂田くん｣
｢A、どうしたん？｣
｢進級する気、ある？｣

突然黙り込む坂田くん。そこは即答して欲しかった。

｢ある、あるけど…｣
｢あるけどなに？｣
｢俺、不良やし、べんきょう、嫌いやなあって｣

思わずため息をついてしまう。その理論は全く成立してないよ。

｢Aはべんきょう、すき？｣
｢好きじゃないけど…｣
｢じゃあ不良やな！おそろいやな！｣

そろそろ不良っていえばなんでも許されるって思ってないか？私まで不良にされたらたまったもんじゃない。

｢わかった、坂田くん｣
｢なに？｣
｢テスト、全部赤点回避したらさ、｣
｢うん｣

｢ご褒美あげるよ｣
｢まじで｣

そういうと突然やる気が出たのか問題集とにらめっこを始める坂田くん。
なんだか小学生を相手にしてる気分だ。
この調子ならこ褒美もありえるかもなぁ、なにがいいかなぁなんて考えながら私も手元の問題集に視線を戻した。

｢ってなんでこの公式使ってるの全然違うって言ったじゃん！！｣
｢A先生ごめんなさい！！！｣

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