アマレッティ。

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さっきまで雨が降っていたせいで

地面が湿っている。



校庭に足を踏み出せば

雨で濡れてじっとりとした土にローファーが沈んだ。








「はぁ…」


息を吐き出せば白く濁った。

風が白い煙を運ぶ。




視界が良好になった目の前には



ユニフォームを揺らしながら

軽やかにボールを転がして、




昔から変わっていない無邪気に笑うひろの姿だった。









つられるように目で追いかける。






『いいから。おれのいうこときけ。』


ひろの口癖









"俺はお前より少しだけ早く生まれたんだ"



なんて言いながら、

お兄ちゃん気どりしてたなぁ。









小学生の時、

偉そうに両手を腰に置いて威張ってたけど




私はなんだかそれが可笑しくって笑ってた。







今そんな話をすれば恥ずかしそうに睨まれる。










「さむっ」




気付けば、


指先は凍ってしまうほど冷たくて



巻いてたマフラーに顔を埋めた。











試合は終わったのか、

ピーッと笛の音が鳴り







部員は"疲れたー！"と叫びながら


半袖姿で楽しそう。








こんなに寒いんだったらコートも着てくるべきだったなぁ。







朝から使っていたカイロも

冷えちゃって今はカバンの底。





あったかいココアでも買って帰ろうかな〜、

なんて考えてたら









北「おいっ」


汗を流しながらひろが走ってきた。















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