公子さんが本当にシスコン過ぎる

みんな友達 ページ39

『私、頭撫でられんの好きなんだよね』



ある晴れた日、私はそんなことを口にする。



「へぇ、意外〜！」



そう反応したのは胡桃だ。

触られんの嫌いなのかと思ってた、と続ける彼女。



「公子さんに触られんの嫌そうにしてるじゃん」



『うーん、嫌いじゃないよ？でもタルタリヤは……そんなこと言うと調子乗るから』




タルタリヤを調子乗らせたらヤバそうじゃない？

あとは……ガイアさんとか。


この2人は絶対調子乗らせちゃダメだ。



『あ、でもでも、魈さまには撫でられたいかな！！戦闘とか頑張った後に！よく頑張ったな、って！』



私がそう言うと、呆れた顔で口を開く胡桃。



「ほんと仙人のこと好きね…」



『え〜〜、だって当然じゃない？魈さまは私のはつこ……』



そこまで言って、私は口を閉ざす。

まずい、魈さまが私の初恋の人だってことは誰にも言ってないしこれからも言う気はない。



「はつこ……なに？」



案の定胡桃は反応する。



そして……



「あ、もしかして初恋の…『わーわーわー！！！！！！』



きっと察したであろう胡桃の声を遮る。



『違う、違うから！！』



「え〜、そ〜お？」



しかし、にやにやしてる彼女。
これはバレてるよ…やらかした、もう最悪…。



「そっかー、仙人か〜……でもあれだけ言ってたらね、まあ予想通りって感じだけどさ」



『ええ…』



もっと驚いてくれても良いのに。



「で？？初恋の人ってことは今は誰が好きなの？？？」



胡桃は目を輝かせながら身を乗り出す。



『え？……………いやいや、いないよ〜』



「なにその間、絶対いるじゃん！」



『え〜』



でも、今好きな人はほんとにいない。



私は顎に手を当てて知ってる人の顔を考えてみる。




まずタルタリヤは論外。家族だから。



魈さまは今はもうそーゆー目で見てない。



空くんはかっこいいとは思うけど、友達かな。



鍾離さんは………うん、神はダメでしょ。

まあそれで言うと、ほんとは仙人もダメなんだけど。




『いや、いないね。みんなそんな目で見れないや〜』



「あらそう…」



がっくし、と肩を落とす胡桃。



胡桃ってこういう話題好きだよね。



『とりあえず魈さま、私のこと撫でてくれないかな…』



そう呟くと私の後ろから声がする。








「なんだ？」




『ひぇ』



こういうときばっかり反応しないでくださいほんと。

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