冬の約束

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暑い暑い夏休みが終わった。



そのあと秋が来て冬が来て

高校受験もいよいよ本番を迎えて



やがて春になり

ぎりぎり受かった志望校での新生活がスタートした。



そしてあっという間に半年経ち

高校一年の夏休み明けの始業式後のHR

やつが現れた。











「転校生の、有岡大貴くんです」


「よ、よ、よろ、よろしくおねがい、しまふ！」




転校生は勢いよく頭をぶんっと下げると同時に、盛大に噛んだ。
え、天然？それとも狙ってる？掴みはOKみたいな？
狙いどおり教室は一気に笑いに包まれて、
顔を上げたときにさらに瓶底メガネがずれていて、その向こうの人懐っこい笑顔に皆の心がガシッと掴まれる音まで聞こえた気がする。



「ねー有岡くんてどこ住んでるの？」
「えーと……山？」
「山って！どこの山だよっ」
「あっ、山のほうってこと。田舎でさ」
「その眼鏡見えてるの？すごい分厚い〜」
「んーこれはぁ、正直よく見えない…」
「じゃあなんでつけてんだよっ」
「かけとけって言われたんだよ…」

えーだれにぃ？
わはははは
あはははは


そんなわいわい音を背中に俺はぼーっと校庭を眺めてた。
夏休みは終わったけど、外はまだ残暑真っ只中。服だってまだ半袖じゃないと暑くてやってられない。


「あのぉ」
「ん？」

うわ、って声がでそうになっちゃった。
だってさっきまで賑やかの中心に居た人が真横に立ってたから

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