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ぴちゃん。ぴちゅん。
そんな水音を聞いて目を覚ます。
『っ…』
目を開いて今の状況を確認する。
…絵に描いたような地下牢だ。
感覚から察していたが、ご丁寧に手枷足枷が付いている。
…あーあ、しくったなぁ。
することもないので壁を背につけ、回想に耽った。
彼の話は増援が来るまでの時間潰しだったのだろう。
さっさと、トンズラすれば足はつかなかったのに。
これは反省会を開く必要があるようだ。
——かつ、かつ
…遠くから、靴の音。
「先程はお世話になりましたね。調子はどうですか？」
現れたのは枢機卿。
腹を刺したはずなのに、痛くも痒くもないといった様子で優雅に歩いてきた。
『…どーも。この空間にこの仕打ちで調子が良い者がいるなら、是非話を聞いてみたいですね。』
「お気に召さなかったようで残念です。…まぁ、時期にそんなことも気にならなくなりますよ」
不穏な気配を察知して冷や汗が流れる。
無意識的に後ずさる、が背面が壁であったため、ただただ背中を擦り合わせただけとなってしまった。
『…何をするつもりだ』
「そんな痛いことはしませんよ。目が回って気持ち悪くはなるかもしれませんが」
そう言って彼は黒い端末を取り出した。
…あれは、なんだ。
長方形で黒い物体。
大きさは手のひらに収まるほどだ。
何より怖いのがそこからぴっぴっと電子音がしていること。
どういうことだ。教会は旧科学技術を忌み嫌っていたはずなのに。
『それは…なぜ、教会がそんなものを』
「ははっ、なんでだと思う？」
『…』
枢機卿は私の顔を覗き込む。
光の見えない瞳が、ただただ恐ろしかった。
「どーせ今から記憶無くす人にいってもしゃーないやろ」
『記憶を…無くす？』
「暗黒時代の人はようこんなこと考えたよなぁ、こんな恐ろしいこと」
「おかげでこんなに奇跡を使える人間を集められたんやけど」
『まさか、お前それを使って…!!』
「ご名答。まっさらな状態で［神様を信じたら救われる］だなんて言われたら、そりゃ食らいつくわな」
『っ…!ふざけ
「お喋りもここまで。そんな暇じゃないんよ、こっちも」
ばちっ
電気が流れる音。
それと同時に激しい吐き気と割れんばかりの頭痛。
そんな状況も理解するよりもはやく体は限界を迎えた。
———
———
「あぁ、神よ。我らに祝福を」
彼は、今日も偽りの神に祈りを捧げる。
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りんご(プロフ) - ぼうっきれ、とうさん» ぼうっきれ、とう様 コメントありがとうございます。気に入ってもらえたようで何よりです…!ぼうっきれ、とう様の作品もいつも楽しませて頂いています。これからも更新頑張りますので応援していただければと思います！ (2021年9月19日 20時) (
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作者名：りんご | 作成日時：2021年9月17日 14時
