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受験前。
今日は塾に通う最後の日だ。
絶対合格しよう、と友達と誓い合って、私はいつもの電車に乗り換える。
「ん、お疲れ様、Aちゃん」
『お疲れ様です。ロボロさん』
いつもの席に座って話す。
その流れで明日が受験当日であることも話した。
「そうなん！そっかぁ…応援してるで！」
「そしたら…Aちゃんとはもう会えへんのかも知れんのか…寂しくなるな」
『え...？』
「え？だってそうやろ？受かったらこんな夜遅くまで塾通うことも無くなるんやし...」
そう、だった。
今日で塾、最後だったんだ。
彼とは、もう、会えなくなるのか。
「えぇっ？！ちょ、Aちゃん大丈夫？？」
「い、一回電車降りよ？な？」
目尻から頬にかけて伝う水の感覚と彼の様子で涙を流していることに気づいた。
彼に引っ張られ駅のホームに連れ出される。
「ちょ、いきなりどうしたんや？」
『ぃや、あ、の...』
彼が背中を摩ってくれる。
なんて優しい人なのだろうか。
『ろぼろさんと、もう会えないって思ったら、さみしくなっちゃって…』
きっと真っ赤になっているであろうこの顔が見られたくなくて、両手で手を覆い隠す。
「…」
「なんや、そんなかわええ理由でないとったん？」
顔を隠していた両手は下ろされ、ビビットピンクの瞳に射抜かれる。
この一帯だけ、時間が止まったような感覚に襲われる。
「俺もな、Aちゃんと離れるの、寂しいで」
「めーっちゃ寂しい」
「やから、さ？Aちゃんが良ければやけど、また会わへんか？」
『…ぇ』
「…今まで引かれると思ってたから言わんかったけど、俺はAちゃんのこともっと知りたいし、もっと話したい」
「やから、…どう？」
『…』
「…キモい、よな。こんなおっさんにそんなん言われてもキモいだけよな。ごめん、浮かれとったわ。」
『ちがっ！…私もロボロさんともっと話したいです！！』
『だから！…だから、また、会い、たいです…』
「ほんま？！あかん、今めっちゃ嬉しい…と、取り敢えず明日の受験頑張ってな！！応援してるで！！」
ーーー
ーーー
彼とはその後LINEを交換して、いつもの飴をたくさん貰った。
その飴をお守りしたからか大学には見事合格。
華のJKは終わり、卒業と同時に私は一人暮らしを始めた。
明日は大学生になってから初めてロボロさんと会う日。
楽しみだな、と彼にもらった最後の飴玉を口に入れた。
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りんご(プロフ) - ぼうっきれ、とうさん» ぼうっきれ、とう様 コメントありがとうございます。気に入ってもらえたようで何よりです…!ぼうっきれ、とう様の作品もいつも楽しませて頂いています。これからも更新頑張りますので応援していただければと思います！ (2021年9月19日 20時) (
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作者名：りんご | 作成日時：2021年9月17日 14時
