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「いーえ、学生さんやろ？夜遅いのに大変やなぁ」
『まぁ、受験生ですので…』
彼はロボロさんというらしい。
ちょっと人より背が小さい彼は、なんというか話し上手で。
最寄りに着くまでの1時間はとても楽しい時間だった。
『あ、私最寄り次なんです』
「ん、そか、今更やけど話しかけて悪かったな、勉強とかしたかったやろ」
『ま、ぁ、いつもはしてますけど、1時間くらい変わりませんよ。それに凄く楽しかったので』
「なんや、嬉しいこと言ってくれるやん！あ、そうだ、ちょい待ってて？」
彼は鞄をガサゴソと漁り、小さな飴玉を取り出した。
「こんなもんしかあらへんけど、勉強頑張りや？」
『ありがとうございます！』
私はその小さな飴玉を大切に仕舞い、電車を出ていった。
最寄りから家まで歩いて5分ほどだ。
先程の飴玉を取り出し、口に入れる。
ほんのり甘い、いちご味。
昔に食べたあのいちごミルクの味と似てるかも。
家についてからはよほど疲れていたのか、冷たい玄関に倒れ込む。
寝る前のふわふわ、ふらふらした感覚がとても気持ちいい。
そこから起き上がることもなく、私は眠りについた。
目が覚めたのはリビングのソファの上だった。
「相当疲れてるみたいだし、今日は学校休んだら？」
そうお母さんが言ってくれたが、みんながやってる中一人だけ休むわけにはいかない。
重い腰を上げて駅までの道を歩き出した。
ーーー
ーーー
それからもロボロさんと電車で何度か会うことがあった。
始発駅から私の最寄りまで。
彼はずっと楽しい話や私の愚痴に付き合ってくれて。
最後には必ずあのいちご味の飴をくれる。
その飴を私はすっかり気に入ってしまって。
いつか彼にどこで売ってるかを尋ねたが、
「教えたらもう渡さなくて良くなるやろ？」
「そしたらAちゃんとの繋がりが切れるみたいで嫌なんよ」
そう言われて断られてしまった。
残念…だが、彼に私を求められているようで嬉しかった。
私の中で、ロボロさんという存在はかなり大きいものになっていた。
話している時は幸せそのものだし、反対に彼に会えないとなにもやる気が出ない。
１週間会えなかった時は頭痛がするほど。
あれまであんなに苦しかった塾は今では進んで通うようになり、この間の模試もA判定をもらえた。
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りんご(プロフ) - ぼうっきれ、とうさん» ぼうっきれ、とう様 コメントありがとうございます。気に入ってもらえたようで何よりです…!ぼうっきれ、とう様の作品もいつも楽しませて頂いています。これからも更新頑張りますので応援していただければと思います！ (2021年9月19日 20時) (
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作者名：りんご | 作成日時：2021年9月17日 14時
