おやすみエマージェンシーコール/shp ページ14
ぴぴぴぴ…ぴぴぴぴ…
聴きなれたアラームの音に、闇の底に沈んでいた意識が持ち上げられる。
『んんっ…』
夏だからだろうか。
蒸し暑くて、それに何だか動きにくい。
とりあえずアラームを消そう。
半無意識的に目覚まし時計に手が伸びる。
ぴぴぴぴ…ぴっ
『んぁっ…ぁ？』
伸ばしだけより早く音が切れる。
いや、それよりも今何かが動いたような…
急激に意識が浮上する。
満を辞して開かれた瞳には、茶髪の癖っ毛が映った。
『っ…?!』
声のない叫びに気づいたのだろうか。
私を閉じ込める檻はますますその拘束を強くして、逃げ道を潰していった。
「あはっ、かわええ」
「おはようございます、せんぱい」
「今日もかわええな。寝癖ついてますよ？」
「見てるだけじゃ耐えきれなくなって、遊びに来ちゃいました」
「だってせんぱい、全然気づいてくれないんやもん」
「せんぱい優しいから、許してくれますよね？」
「まぁ、許してくれなくても閉じ込めるから問題ないんすけど」
機関銃のように投げつけられる言葉の鉛玉を全身に受けた私はとっくに昏睡状態に陥っていた。
目の前にいるのは間違いなく大学時代のサークルの後輩。
学生の頃はほとんど変わらぬ表情と気怠い雰囲気を纏ったしょっぴと呼ばれていた彼。
その彼がかつての様子からは考えられない、理性が抜け落ちた様子で私に詰め寄る。
ーー見てるだけじゃ耐えきれなくなって
ーー閉じ込めるから問題ない
節々から感じされる怪しい言葉にようやくことの重大さに気づいた私は、なんとかこの鬼から逃げ出そうと体を捩る。
しかし、いくら年下とはいえ男と女の力の差は明白だ。
一歩も踏み出せぬまま私はベットに組み伏せられた。
「ちょ、急に暴れんといてくださいよ」
「…んは、これでもう動けませんね」
のし掛かるように体重をかけられ、救いを求めた両手は何もできないまま絡め取られた。
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りんご(プロフ) - ぼうっきれ、とうさん» ぼうっきれ、とう様 コメントありがとうございます。気に入ってもらえたようで何よりです…!ぼうっきれ、とう様の作品もいつも楽しませて頂いています。これからも更新頑張りますので応援していただければと思います！ (2021年9月19日 20時) (
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作者名：りんご | 作成日時：2021年9月17日 14時
