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em side
まさか自分が一目惚れをする人間だとは思わなかった。
あの日俺たちの前に姿を表した彼女は美しさのイデアのようだった。
昔の人間は美しい人間を天使だなんて呼んだらしいが、天使なんかよりも遥かに美しい。
彼女は転生者、即ち聖女だった。
今まで類を見ない過去からの使者。
修復も不可能のような文献でしか知り得ないことを彼女は身を持って体験している。
…もしかしたら、現在は研究すら禁止されている［科学］についても何か知ってるかもしれない。
本能からも理性かも、彼女の存在が根付き離れなくなっている。
その根は腐ることなく、日増しで私の心に浸透し、一部を食い荒らしはじめた。
彼女と出会ったこと。
それがきっかけで俺はどんどんと暴走していった。
…彼女が欲しい。
その欲は、瞬く間に一般的に歪んでいると形容されるという域まで膨らんでいた。
ある日、彼女がこの国の言葉を勉強したいと提案した。
俺としては自分としか話せないままでいて欲しかったが、少しでも彼女が楽に過ごせるように、と差し支えのない言葉を教えることにした。
まぁ、本当の理由は彼女から絶対的な信頼を寄せてもらうためだけどな。
ひたすら鸚鵡返しをする彼女に悶えながらも、あくまで紳士的なエーミールを演じ、彼女の信頼を勝ち取る。
あぁ、こんな姿をみれるのも俺だけやな。
だなんて考えて優越感と背徳感に頬が緩む。
彼女は頭がいいようで、どんどんと新しい言葉を覚えていった。
自分の手元を去ってしまうようで寂しい感じもするが、彼女の言語を私の手で作り上げたというのはなんとも言えない背徳感がある。
もうすぐ聖女捜索運動は終わるだろう。
聖女召喚の儀をしていない俺らの国には、国を漁るような輩は来てないようだ。
まぁ、大国だから喧嘩売りたくないってところが一番大きいと思うけどな。
それまでに図書館からは地図とか現代の政治についての本は目につかないところに移動させなきゃいけない。
決して元の世界なんかに帰らせるものか。
あーあ。今日もやることがいっぱいだ。
ま、そんなことも彼女と一緒に居れば忘れるけどな。
準備していた絵本とお茶会のセットを用意して、今日も彼女の部屋をノックする。
「さぁ、Aさん、今日は私が一番好きな絵本をお持ちしましたよ。」
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りんご(プロフ) - ぼうっきれ、とうさん» ぼうっきれ、とう様 コメントありがとうございます。気に入ってもらえたようで何よりです…!ぼうっきれ、とう様の作品もいつも楽しませて頂いています。これからも更新頑張りますので応援していただければと思います！ (2021年9月19日 20時) (
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作者名：りんご | 作成日時：2021年9月17日 14時
