いつの日か ページ15
実弥さんの願いも虚しく、塵となって消えた。上弦の壱という強い鬼の力を持った鬼を食べたことで、玄弥君の体は鬼化が進んだらしい
Aside
かける言葉は見つからない。でも、心が折れかけた実弥さんに駆け寄った
A:「っ、グッ……ガハッ!!!」
不死川:「A!」
なぜだろう、苦しい。
今、私は血を吐いて倒れかけた所を実弥さんに抱き止められた
不死川:「オイ、ふざけんな!勘弁してくれ、そんな……Aまで連れてかないでくれ!」
「っ、フッ……!」
言葉を伝えようとすると、胸に鋭い痛みが走って言葉にならなかった。
上弦の零との戦いでの負傷が大きすぎたんだろう
不死川:「しゃべんな!しゃべんなくていいから、頼むから死ぬんじゃねェ!」
実弥さんの必死な声が遠く感じる。
さっき、余命一年って言ったけど、どうやらそうもいかないらしい
実弥さんのこんな涙は初めてだ。大粒のダイヤモンドの如く光輝いていた。
それさえもいとおしく思える私は可笑しいかも
体が冷たくなってきた。
実弥さんに体を預けてどのくらいたったろうか?
あぁ、私は死ぬんだな……
自分の死ぬときって、本当に分かるんだなぁ
私は冷めた手で、実弥さんの熱のこもった体に必死にしがみついた
『今までありがとうございました!大好きです!先に死んでごめんなさい!』
そう言おうと、伝えようとしたのに、出てきたのは吐息ばかりだ。
「っ、さ……み、さ……ん……ハァ、ハァ……」
不死川:「もういい、もういいからしゃべんな!もうやめてくれ、本当に!」
でも私はやめなかった。伝えられずに死ぬのは嫌だったから
もう一度強くしがみつくと、今度は実弥さんも強く抱き締めてくれた
私は自分の両腕を実弥さんの首に回し、耳に口を寄せた
「わ、たし……さね…み……さんの……つぐこ……で、よかっ……た。好きに……なって、よかっ……た。今まで……ありが、と……ござ……い……ました。私は………死ぬ……けど……実弥…さ…んは…いき、て……くだ、さいね」
不死川:「何弱気なこと言ってんだ!死ぬんじゃねェ!駄目だ、もう戦わなくて良いから!死なないでくれ!」
チュッ!
私は最後の力を振り絞って自分の唇を実弥さんに重ねた。
ドサッ
鈍い音と共に痛みと眠気が襲いかかった
あぁ、本当に最後なんだなぁ。
いつの日か、来世で……また会えたら………
47人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クテシフォンらるるん | 作成日時:2020年4月24日 15時