自害 ページ13
不死川side
「カァァァ！カァァァ！美柱、天女目A！天女目A！上弦の零討伐！上弦の零討伐！」
これを鶴の一声と呼ばずしてなんと言う？
上弦の壱が明らかに動揺した。
その隙を見て一発、二発、細かい斬擊を入れる
でも、強い！とにかく強い！
こんな奴に柱三人もついててこの有り様。アイツはコイツより強ェ鬼を一人で倒したのによォ、師範の名が廃るぜ！
黒死牟：「柑吾殿………俺に勝って上弦の零になった………妹に負けたのか………俺と同じように………」
と、意味のわかんねぇことをほざくコイツは、憎しみに囚われているようだった。玄弥は長くは持たねェ。時透も限界だ。
クソっ！早く倒して鬼舞辻のとこに行かなきゃいけねェのによォ、ほんと、神経を逆撫でしやがる
鬼の早さが増していく、その途中、時透と玄弥は戦闘不可能にされた。
頚を斬っても死なねェコイツは、どんどん化け物化していく。
俺は正面から、悲鳴嶼さんは背後から一気に責める。
俺の刀が獲物を捕らえ、まっすぐに斬りかかる。しかし、攻撃は帰ってこなかった。
でも俺は見た。俺の刀にうつる自分を、まるで自分の姿に物言いたげな顔をして………
ボロッ、ボロッボロボロッ………
鬼の体が塵になっていく。
日光でしか死なないはずなのに、どんどんどんどん消えていった。
おそらく、自害。
完全な自害ではない。
赫刀と血鬼術で力を削がれたのと、自分の容姿の醜さに心が折れたという相乗効果によって、再生力が機能しなくなったところに俺たちの集中砲火が効いたとも言える。
自害なら自害で構わない。しょせん鬼は鬼。同情の余地はない。鬼の死と同時に、俺も意識を手放した。
しばらくして、心地いい空気と、その場に似合わない妙な胸騒ぎで目が覚めた
Aside
私は折れた足を奮い立たせ、鬼舞辻の元へ向かった。その途中で実弥さんのいる戦場も通る。力の使いすぎでいまいち色が見えない。
でも、戦場に近づけば近づくほどその色ははっきりしてきて、師範の悲しみ、悲鳴嶼さんの怒り、その色だけが見えた。でも、いるはずの時透君と玄弥君の色が何故か見えない。上弦の壱の気配もない………
私はざわつく胸を右手で押さえながらさっきよりも早く向かった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
「っ、実弥さん！」
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作者名：クテシフォンらるるん | 作成日時：2020年4月24日 15時
