巫女でもヒーローになれますか？【ヒロアカ】【切島鋭児郎】【轟焦凍】 (ページ3)

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家を飛び出したはいいもの、行く宛はない

私は中学卒業後、家業を継ぐ予定だったから高校に行っていない。

ふと、ついこの間、あの有名な雄英高校が入学式を行っていたのを思い出した

『雄英高校……』

さりげなく口にしたのに、1度口に出すと、頭の中は"雄英高校"の文字で埋め尽くされた

ふらふらと歩いてたどり着いた……

『来ちゃった……』

来ても意味が無いのは分かってる。だが、"彼ならもしかして"……と期待してしまう自分もいる

と、その時だった

｢あの、すみません！神々廻Aさんですか？｣

反射的に振り向いて後悔した。
マスコミだ……

私を認識するや否や、どこにいたのかマスコミに囲まれる。
(まずい……家出のこと聞かれるのかな)そう思った

｢神々廻さんも雄英生なんですか？｣

｢神々廻さん！ヒーロー科に入ることご両親はなんて？｣

｢神々廻さん！オールマイトの授業はどんな様子ですか？｣

虚をつかれた。
てっきり私の家出の事を聞かれると思っていたのに、私を雄英生と勘違いし、挙句の果てにオールマイトについて聞いてきた。

(オールマイト？授業？なんの事？)

私は神社にどし籠っていたから、テレビは見れなかった。買い出しに出た時に商店街で見るくらいだ。実際、雄英の入学式も商店街のテレビで知ったのだ。つまり、私の知らないうちにオールマイトは雄英の教師になっていたのだった

考えを巡らす内に、とうとう隙間なく囲まれてしまった

『す、すみません、通してください！！』

しかし、精一杯張った声もマスコミにかき消されてしまう。

でも次の瞬間、途方にくれた私に向かって風を切るようなハッキリとした声がかかった

｢Aさん！｣

私のよく知っている優しい声、開けた門の前には優しいその姿があった

『根津校長！！』

虚をつかれたマスコミの隙をついて校長の元へ駆け寄ると、学校の門は直ぐに閉められた

『助けてくれて、ありがとうございます！』

とりあえずお礼を口にしたけれど、根津校長は何も言わない。それもそうだ。私は雄英生ではないのに、マスコミに私が雄英生だと思わせてしまった。そして、校長の事だからきっと、私の家出の事も知っているのだろう

きっと叱られる……家に送り返される……
そんな黒くて暗い思案が巡る

私はどうするべきなのだろう………