零さん、あなたって人は……② (ページ31)

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誓のキス2 ページ31

2人だけの医務室。
空気清浄機の機械音がやけに大きな音に聞こえる

『……………座ったらどうですか？』

何も言葉が浮かばなくて、とりあえず私のベッドの横にあったイスを指さす

｢……A、妊娠してたこと、知ってたのか？｣

零さんが深刻そうな顔で聞いてくる。責任を感じているんだろうなと予想できた

『ううん。さっき目が覚めた時知ったの……』

｢そっか……ちょっと安心｣

『へ？』

｢もし知ってて1人で悩んでいたのかと思ったら不甲斐なくて…｣

零さんは椅子には座らずに私のベッドの上に腰掛け、私のお腹を見て和ましそうに手を伸ばしてくる

『ここに、我輩との赤ん坊がいるのじゃな？』

｢はい……｣

零さんはにっこり笑って私を抱き締めた

｢1人で心細く、怖い思いをさせてすまなかった｣

優しい声。暖かい体温。
自然と涙が出てきた。零さんがそばに居てくれることがこんなにも安心できるなんて………

零さんはふっと笑って涙を拭った
そして少し真面目な面持ちで私の顔を覗く

｢本当は、妊娠する前に言うべきだったかもしれない。妊娠した後に言うのは卑怯かもしれない。でも聞いてくれるか？｣

『？なんですか？』

零さんはベッドから降り、床に片膝をついて座る

｢どんなときもお主を愛し続けると誓う。どんなときもずっとそばに居ると誓う。お主も子供も守ると誓う。だから…………｣

『っ///』

零さんが小さな箱を両手で差し出す

パカッ

｢我輩と……結婚してください｣

こんなに嬉しいことは無い。好きな人がいて、好きな人との子供が出来て、好きな人にプロポーズされる

私は今、世界一幸せな女の子だろう

『……///っ、もちろん！』ニコッ

だから、精一杯の笑顔を返した。零さんも笑っている

｢良かった……すまぬのう。こんなカッコ悪いプロポーズしかできなくて｣

『ふふっ、いいえ。カッコ良かったです』

2人で誓のキスを交わす

綺麗なシルバーのリングに、溢れんばかり散りばめられたダイヤの指輪。その中央には濃い紫色の宝石がチラついていた

かなり高価ななダイヤだろう。光の加減で紫色に見える宝石。濃い紫にも薄い紫にもなる

｢お主の目の色、髪の色と同じじゃと思ってのう｣

そう言いながら左手の薬指に指輪を填めてくれる

『嬉しいです。ありがとう零さん』

そしてもう一度、甘いキスを交した