3話 ページ4
ご飯を食べ終わり、私はドリップ式のコーヒーを入れる。キヨさんはいつもの通りお茶を飲む。
キヨさんは、部屋に珈琲の匂いがするのが嫌かなと思っていたが、そこは大丈夫らしい。
ただ、前に飲んだ後に、不意打ちでキスをした時は、苦い顔をしていた。
「……にがい」
「相変わらず子供舌ですね」
「ほんとに、よくこんなのを飲めるよな」
それでも、彼は私に珈琲をやめさせたり、不意打ちでキスをしてくるのをやめなかった。
「あ、キヨさんは今日編集ですか?」
「いや、今日の動画は昨日終わらせたし、夜に通話で撮るから特にやることない」
「め、珍しいこともありますね」
この間……2週間前に泊まりに行った時は動画撮るのと編集に追われていて、私はそれを見ながら散らかったお部屋を掃除したり、課題をやったりして暇を潰していた。
「……この前の時、構ってやれなかったからさ」
その事を悪いと思っているのか、キヨさんは昨日のうちに終わらせたらしい。
「ふふ、別に気にしてないですよ」
「俺が気にすんの。ていうかお前も気にしろ」
そう言って、床にあぐらをかいていたキヨさんは、私のいるソファーに近寄ってきた。
隣に座って、私の髪の毛を触った。
「同じシャンプー使ってるのに、めちゃくちゃさらさらしてる」
「トリートメントしてるからですよ」
さらさらと彼の細い指が通り、くすぐったくて身をよじる。
「……なんかお前、前よりかわいい」
「……っ、いきなり口説かないでください」
キヨさんは私の両手からマグカップを片手で簡単に取り、テーブルに置いた。
「最近さぁ。レトさんとかに「お前の周りの空気ゆるゆるすぎて気持ち悪いんやけど」って言われて」
「はぁ、」
私の口説かないでくださいは無視か、と思いつつ、キヨさんの話に耳を傾けた。
キヨさんはそのままずるずると私の膝に頭を乗せた。
「ガッチさんとかうっしーにはニヤニヤされるし。最俺には会った時に「Aちゃんとは上手くいってる!?」とか質問攻めされるし」
「………それは、たいへんです、ね?」
「そうなんだよなぁ、大変なんだよ。俺、隠すの結構上手いと思ってたんだけど、最近すぐバレる」
でもさぁ、とキヨさんはこちらを見る。
「俺それバレる度に、お前と付き合ってんだなって実感して、嬉しくなってる」
きもいでしょ、とそのまま顔をお腹に押し付けてくる。
私は彼の頭を撫でた。
「ふふ、」
思わず笑みがこぼれた。
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りんご(プロフ) - ちょこれえとさん» すみません、返信遅くなりました。好きになったと言って頂けて嬉しいです。これからも自分のペースで頑張っていきます! (2020年3月6日 13時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれえと(プロフ) - めっちゃ面白いです!キヨのこともっと好きになれました! これからも頑張ってください!! (2020年3月3日 13時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - みんさん» ありがとうございます!1番好きと言っていただけて嬉しいです。自分のペースで頑張らせていただきますので、これからもよろしくおねがいします! (2020年1月31日 23時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - はじめまして!いつも拝見させていただいています!たくさんあるキヨのお話の中で一番好きです(^^)vりんご様のペースで頑張ってください。陰ながら応援してます! (2020年1月31日 18時) (レス) id: c336b5de5e (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - なおさん» 初めてのコメントをいただけて嬉しいです!年齢制限の方は別サイトになると思いますが、前向きに考えますね。ありがとうございます。 (2019年12月13日 19時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年12月10日 14時