8話 ページ8
街からかなり外れて、静かな平地にやってきた。後ろからキヨさんの横顔が見える。車通りの少ない道になってから、彼はマスクと帽子を外したので、彼の素顔がよくわかった。
わー……かっこいいな……なんて。
モノクロの世界とはいえ、彼の輪郭とか、パーツとかはしっかり見えている。
男の人とはあまり関わらなかった私でさえ、彼がかっこいいことはわかった。
………そして、私のタイプであることも。
気恥ずかしくなって、窓に目を向けた。
車の中では、最近人気のバンドの曲や、JPOP、アイドルの曲などがランダムでかかっていた。
｢……なんか、ごめん｣
すると、彼がいきなり謝ってくる。そちらに目を向けると、罰の悪そうな顔。
｢いきなり会って、車乗せられて、遠いところまで来たら、俺だったら誘拐だって思うわ｣
｢……そんなこと｣
｢でもさ、なんか誘いたくなったんだわ｣
なんでだろうなぁ、と小さな声。
まるで、キヨさんが一番納得してなさそうだった。
｢……いや、私だって、誘いに断らなかったからここにいるんですから｣
｢そうなんだよなぁ、なんで断らなかったの？｣
率直に聞いてきた。なんだろう、この素直に聞いてくる感じが、年上に見えないんだよなぁ、と思いつつ、
｢……断って欲しかったんですか？｣
と、可愛げのない質問で返す。彼は、そこでまたふは、と笑った。低くて、優しい笑い声だった。
｢お前さ、初めて会ってから思うんだけど、すっげー返しが可愛くない｣
｢なんですか、キヨさんに会いたかったからです、とか答えた方がよかったです？｣
｢……会うのが二回目なのに？｣
からかいを含んだ声。彼はそれを狙っていたのだろう。もちろん、私も分かっていたので、ふふんと自慢げに返した。
｢だと思ったから言わなかったんですよ。キヨさんこそ、お礼を渡すだけなのに私を誘ってたのはなんでですか？｣
｢……ほんっとかわいくねーやつ｣
ふふ、と笑いが零れてしまった。
｢あ、あと10分くらいだから｣
｢はーい。私、この辺来たことなくてわからないんですよね｣
そこから始まる会話。キヨさんは何度か来たことがあるらしく、車も人も少なくて楽だけど、1人で通るのは眠いと言っていた。
｢ちょっと離れたらこれだからよ、こっちは極端だよな〜｣
｢あれ？キヨさんは都会の出身じゃないんですか？｣
｢違う違う。俺実は北海道から来たんだよ｣
北海道、って。
｢私の出身と同じです…｣
｢えっまじ？｣
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
