9話 ページ9
｢お前、羽幌の方に住んでたの？うわ、札幌行くの遠すぎて可哀想なんだけど｣
｢そうですよ。高校卒業のときに、両親がこっちに仕事で来なきゃ行けなかったので、私もこっちの大学受験したんです｣
そっか、キヨさんと同じ出身地か。親近感湧いてきて、なんだか嬉しかった。しかし札幌との距離が遠いからとディスるな、とひっそり思った。確かに北の方にあって何も無いかもしれないけど。
｢んなことあるのか。俺もそんな感じだわ｣
｢ただ、こっちきてから2年なんですけど………｣
｢ん？｣
外の景色を眺める。もう秋も終わりかけで、木が寂しくなっている。
それでも、2年前までは見えていたあれがない。
｢11月下旬なのに、雪が全くないのに慣れないんですよね………ついつい、雪かきの準備しなきゃって思ってしまうんです｣
｢めっちゃわかるわ。あとJRとかバスが来るの早すぎねえ？俺この間帰省したらバスに1時間待たされたんだよな｣
なんて、北海道あるあるを話しながら、車は進んでいく。
✱
｢よーし、ついた｣
車が止まった場所は、小さくてこじんまりとした、カフェ。車は私たち以外止まっていなかった。
｢あーーー、久々に運転した｣
キヨさんは運転席から早々に降りて、背伸びをしている。私も同じように降りて、周りを見渡した。
｢……すごい、こんな畑とかあるんですね｣
街からかなり外れていたのか、畑が広がっていたし、近くには森も山も見える。キヨさんも同じように広がる自然にはーー、と息を吐いた。
｢久々にこんな田舎見たわ｣
｢……キヨさんってストレートに言いますよね｣
2人でしばらく景色を堪能したあと、カフェの中に入った。
からん、とドアについてる大きなベルがなる。
私たち以外にお客さんは誰もいない。
｢やあ、いらっしゃい｣
カウンターの席に腰掛けて、新聞を読んでいたお爺さんが顔を上げる。どうやら、ここの店員さんのようだ。
｢2人なんですけど｣
ピースを作って人数を示すと、お爺さんは柔らかく笑った。窓側にあるテーブル席を指さす。
｢そちらにどうぞ｣
席に行って、キヨさんと向かいあわせで座った。手書きのメニューを見る。
｢わぁ……｣
｢……美味そう｣
脚が長いキヨさんは、少し窮屈そうにしながらメニューを見ている。
｢あ、珈琲ある！｣
｢……げ、お前飲めんの？｣
顔を歪めたキヨさんは、どうやら珈琲が苦手らしい。
｢……ふふ、子供なんですね｣
｢な、｣
｢舌が｣
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
