46話 ページ46
「じゃあそろそろお開きにしようか」
「ごめんねAちゃん。こんなおっさん達に囲まれてきつかったよな」
ガッチさんが時計を見てお開きしようと言った。
コートを着る中、レトルトさんが気遣ってくれる。
「いえいえ。コンサートとか、他のオーケストラとかの人と会う時はもっと年上の方が多くて、なれっこですから」
「ああ、それで慣れてるって言ってたのか」
キヨさんがお財布を確認しながら、納得したように言った。
「はい。こういうお食事会とかも少なくないですよ」
「お食事会って。今日のはただの飲み会だから」
牛沢さんが笑っていた。そのまま靴を履いて外に出る。
レトルトさんとガッチさんも後に続いた。
残ったのは、私とキヨさんだけだ。
「……あの、お金、やっぱり」
「ダメ。俺が払うの」
財布を確認して、さっきため息をついたのが見えたので、とんでもない量を食べてしまったのではないか、と恐る恐る聞いてみる。
しかし、キヨさんに即答されてしまった。
「払わなくていいって言っただろ」
「でもやっぱり、申し訳ないです」
引かない私を見て、キヨさんは伝票を持って、私の耳に口を寄せた。
「じゃ、この後一緒に帰ってよ」
「……えっ」
「それでチャラな」
そのまま、彼は個室を出ていく。
私は、思わず耳を抑えた。
「…………」
何も言えなかったけど、顔はとっても熱かった。
✱
「ご馳走様ァ〜!あー、人の金で肉食うって最高やな」
「ほんとな、ありがとうキヨくん」
「はー、おじさんドキドキした。Aちゃん、ありがとね」
牛沢さん、レトルトさん、ガッチさんの順で言われる私とキヨさん。
うるせえ、キヨさんは3人に言っていたが、レジではカードを出して払っていた。
大人の男性だなぁと後ろから見ていたのだが、そこで店員さんに言われた金額に私は言葉を失い、今もぞっとしている。
「こいつ送ってくから、お前らは勝手に帰れよ」
キヨさんは親指で私を指さして言う。
3人はその言葉になぜかニヤニヤと笑う。
「あとで聞かせろよ」
「そうだよキヨくん。義務だからね」
「Aちゃん、キヨがなんか失礼なことしてきたら、いつでも連絡してきてね」
……さっきからガッチさんが保護者なのは疑問であるが、とりあえず頷いておく。
ちなみにこの3人とも連絡先は交換した。
「ほんっとうるせえ。……いくぞ」
キヨさんは何度目かわからないうるせえを言うと、私の家の方を歩き始めた。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時