45話 ページ45
「ふふ、キヨってば照れ屋だなぁ」
静かに私たちの話を聞いていたガッチマンさん……じゃなくて、ガッチさんは、こちらをみてニコニコと笑っている。
ガッチさんと呼んでいいよ、と言ってくれた彼に「お父さんみたいですね」とストレートに言ってしまい、笑われたのがつい30分前である。
「うるさいガッチさん、ほんと、Aも信じらんねえ。本人の前で何言っちゃってんの」
キヨさんは不服だったようで、拗ねて私の方を見なかった。
「いや、だって、牛沢さんとレトルトさんの印象と私の印象が違ったから」
「違ったからってそんなこと言ったら、俺が暫くからかわれるんだよ!わかれ!」
むす、とした顔を向けられる。
こうしてみると、運転してる時の顔とは違い、随分と幼く見えた。
「いやぁ、最近キヨの面白い話が聞けるなぁ」
「ほんとだよねぇ。キヨくんこういう話全然しないから」
牛沢さんとレトルトさんか2人でねー、と同調してるのを見たキヨさんは、ドン引きしていた。
「ガッチさんどうにかしてよ。酒の肴にしないでさ」
「いやこれは無理があるでしょ。めっちゃ今酒美味しいから、もっと聞かせて」
ごくり、とビールを飲んだガッチさんに、キヨさんは大きくため息をついてテーブルにつっ伏す。
「あ、そうだガッチさんとうっしーに言いたいことあったんや」
突っ伏したキヨさんから興味が消えたのか、レトルトさんは二人を呼んだ。
ゲーム実況の話になったのか、だらだらと話し始めたので、私は突っ伏したキヨさんのつむじを人差し指で押した。
「……んだよ」
顔を上げずに、それでも声だけ返してくれる彼は優しい。
「……お肉の色ってあんな感じなんですね」
「…………あ、そうか、お前、」
ばっと顔を上げたキヨさん。
驚いているキヨさんの、髪の毛を見る。
……少しくすんでいたけど、毛先の方が赤色に染っているのが見えた。
「色があると、食べ物がもっと美味しく見えるんだなって思って。今日、たくさん食べちゃいました」
3人の会話の邪魔にならないように、小声で言う。
「……精々余計な肉にならないようにするんだな」
「野菜嫌いなキヨさんに1番言われたくないですね。サラダもろくに食べられないのに」
「……ほんっっっっとにかわいくねえ」
「キヨさん、かわいくないしかボキャブラリーないんですか?」
2人でいつもの通り言い合う。
なんだかおかしくて、お互い笑ってしまった。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時