29話 ページ29
無事に家まで送り届けてくれたキヨさんと別れて、家に入る。
10時近くになっていたが、2人はまだ帰ってきてないようだ。
テレビをつけて、リビングのソファに座った。
｢ああああ｣
色んな感情がごちゃ混ぜになって、苦しい。
枕に顔をあてて大きな声を出してみたけれど、心が収まった訳では無い。
｢……どうしよう、｣
友達になってやるよ、と真正面から言われたのは初めてだ。
でも、私は、彼の目が少しだけ、潤んでいたような気がしたのを知っていた。
かなり、勇気を出して言ってくれたのだろう。
｢……友達、かぁ｣
大学に入ってから友達はできたけれど、それ以外では交友関係を増やそうとは思わなかった。
合コンとか、出会い系とか、たくさん試して出会いを求める人は周りにいるし、誘われたこともあったけど。
1度だけ行った合コンで、男に目のことを話した瞬間、｢………重たいし、お前そんなので気を引こうとしてるの？｣と酷いことを言われてしまい、撃沈した。
それから、この目のせいで勇気が出なくて、全部断ってきたのだった。
だけど、それでも。
｢うれしいなぁ｣
私のことをちゃんと見てくれる人がいるという事実が、どうしようもなく嬉しかったのだ。
✱
キヨはAを送り届けたあと、いつものように最俺ハウスに行った。
今日は4人揃って実況をとる予定である。
予定である、はずなのだが。
｢来たな、キヨ｣
｢まってたよぉ｣
リビングで待っていたのは、いい笑顔をしていたこーすけとヒラと、フジだった。
キヨは今日の昼を思い出して、嫌な顔をする。
｢デジャブか？｣
｢まあまあ、キヨさん。説明は俺がしっかりしといたから、そこは大丈夫よ｣
ソファに座っていたフジはぐっと親指を立てる。そして、サングラスもマスクも外した素顔をキリッとさせる。
｢俺たちが聞きたいのは、今までAちゃんと何をしてたかって事だよ｣
｢やっぱりデジャブじゃねーか！！！｣
逃げようとしたキヨだが、背後に回られたこーすけとヒラに羽交い締めされて、連行されたのである。
✱
｢へぇ、諸事情によりお迎えにいって、そのままご飯食ってきたの？｣
ヒラがキラキラした目でキヨに聞き返してくる。視聴者には可愛いと言われているヒラだが、今のキヨには全くかわいく見えなかった。
｢まじか……オフでは陰キャのキヨが？！｣
こーすけは心から驚いているようだ。
｢ガッチさんたちに連絡しよ｣
フジは大人しくスマホを手に取った。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
