28話 ページ28
一通り料理も食べ終わり、デザートにタピオカが置いてあったので、2人で注文した。
｢タピオカなんて5年以上前に流行で飲んだばっかりだわ｣
とキヨさんが言う。ちなみに彼の頼んだ味はいちごミルクだった。
私はミルクティーである。
｢私も最近歌う機会が多かったせいで、お水とか麦茶だけで過ごしてたので、タピオカは久々です｣
｢お前、歌も歌えるの？｣
｢はい、専攻はピアノですけど、歌もエレクトーンもやります。ギターも触ってますけど、基本しか出来ないので｣
弾き語りとかも課題で出されてしまうので、やるしかないのである。
上手い下手は置いといて。
｢喉の調子が悪いと先生に怒られるんで、気を遣うんですよ。今は落ち着いたのでこうやって好きな物食べられるんですけど｣
｢あれ？コンサートとかでは歌わねえの？｣
トークで教えてくれたコンサートのことを聞いてくる。少しにやにやしてるキヨさんは、私が歌うのではないかと思ってるんだろう。
｢歌いませんよ〜。その日は私鍵盤しか触らないので｣
｢……それは残念｣
｢揶揄う気満々だったくせにやめてくださいよ｣
✱
タピオカも飲み終わり、そろそろ解散しようと言う話になった。
｢お金、割り勘でいいですか？｣
財布を取り出して聞くと、キヨさんはは？という顔をする。
｢え？やだ。お前にお金出させるのとかカッコ悪すぎるから奢らせろ｣
｢な、｣
ひょい、と伝票を取って、すぐに会計に向かう。いつの間にかマスクとメガネをしていた彼にびっくりして、私も上着を着て鞄を持って席を立った。
｢きよさ、｣
｢黙って奢られとけ｣
そう言われてしまっては、何も言えない。
彼はレジで会計をさっさと済ませて、外に出た。
私は後ろを着いていくしかない。
｢ご馳走様、でした｣
車に乗ってお礼を言うと、キヨさんはミラーからこちらを見てきた。
｢金輪際俺とご飯食べる時は金を出すなよ｣
｢なんて横暴な｣
｢普通に喜べよ。学生がタダ飯だぞ？｣
｢いやいや、申し訳ないですよ。送ってもらおうともしてるのに｣
｢……じゃ、お前の身の上話聞いたから、それでチャラな｣
車を発信させたキヨさんは、これ以上取り合うつもりは無いようだ。
｢ずるいですよ｣
｢俺、結構ずるい男だよ｣
そう言って笑ったキヨさんに、心臓がいきなりうるさくなった。
そして、今日2人きりでご飯を食べた、という事実が身に染みてきたのか、急に恥ずかしくなってしまった。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
