19話 ページ19
「ありがとうございます、楽しみにしてますね、かぁ。なあ、キヨくん」
「は、は、はい。レトさん」
スマホを取り上げられて、長年の付き合いのせいで鼻声の彼にはパスワードも何故か知られている。
キヨは今回ばかりはちゃんとパスワードを変えておくべきだった、と額を抑えると、目の前の男、レトルトの視線がきつくなったのを肌で感じた。
「ひゃははは!!キヨマジでお前、ほんっと。ウケる。むり」
「いやぁ。俺は嬉しいよ。まるで息子に好きな人ができたみたいで」
「キヨに………彼女………女…………???」
ゲラゲラと笑う牛沢。
父親のような目で見てくるガッチマン。
この世に存在しないものを見た時の顔をして、現実を受け止められないフジ。
キヨは彼らから顔を逸らして、嫌な顔。そして小さくため息をついた。
始まりは今日の昼。
何故か牛沢の家に呼ばれ、渋々昼過ぎに向かいピンポンと押した瞬間。
「説明してくれるって言ったやろ?」
と、既に来ていたレトルトが笑顔で立っていた。
瞬間、気がついたら後ろからフジが回り込んでいたのか、キヨの体を羽交い締め。
玄関で繰り広げられた壮絶な戦いは、数によりレトルト側の勝利で終わった。
そして、正座させられ、この間件を含めキヨの様子のおかしかった理由のあれこれを吐かされて、今に至る。
目の前のレトルトは、それはそれは楽しそうにキヨのスマホを見ている。
「キヨくん、俺らの実況無視して女の子とつるんでたんたかぁ」
「だ!か!ら!言い方がダメだって!あいつはそんなんじゃねえし!」
「そんなんじゃないってどういうこと?俺まだ恋愛に発展してるなんて一言も言ってらんけど」
「……ッ!!!」
墓穴を掘った。とキヨが奥歯を噛む。
ギャハハハ!と牛沢の笑い声が響いた。
「いやぁ、レトルト。こいつ今回は結構ガチっぽいぜ。話も聞いた感じ」
そろそろ解放してやれ、と牛沢が言う。レトルトははぁ、と息を着く。
「……せやなぁ。自分でやってあれだけど、なんか可哀想になってきた」
「レトさん、それもっと早く気づいてよ」
「せやなぁ。もうあらかた聞き出したし」
正座辞めていいよ、とスマホを返してもらって、キヨは足を崩した。痺れているのかそこから動かない。
「……キヨに……女の子………」
「お前はいい加減にしろ!フジ!!」
フジが放心状態で同じことを繰り返すので、キヨは怒った。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時