11話 ページ11
｢はーおいしかったですね！｣
｢うん、美味かった｣
ゆっくりオムライスを堪能したら、マスターがサービスしてくれて、ドリンクのおかわりを頂いた。
｢……あの、さ｣
｢……はい｣
｢俺、ゲーム実況者なんだよね｣
｢……げーむ、実況者……？｣
そのままオウム返しする。げーむ、実況者。
実況者………？？
知らない単語から、推測できることを口にする。
｢ゲームを野球試合みたいに実況するんですか？｣
｢……………お前の言ってること、多分違う｣
はぁ、溜息ついたキヨさん。それでも、何故か憑き物が取れたような顔をしていた。
✱
｢ほー！なるほど！配信者みたいな感じですね｣
キヨさんが見せてくれた動画を見る。そこには彼が目の前にいるより遥かにテンションを上げた声で、ゲーム画面に向かって色々話していた。
ゲームにツッコミを入れたり、叫んだり、笑ったり。
私の知らない世界がそこにはあった。
｢……いや、なんで俺こんなの見せてんの｣
自ら見せていたのに、彼は我に返ったのか自分にツッコミを入れた。彼は見せてくれていた動画サイトを閉じて、スマホをしまう。
｢これで稼いで生活してるんだけど、さ｣
彼は言いづらそうにして、そこで言葉が途切れた。
｢……キヨさんが連絡先を渋った理由がよくわかりました｣
先程動画サイトを見たところ、彼の登録者は200万人を超えていた。しかも彼はとても顔がいいので、間違いなく有名人なんだろう。
もしくは、アイドルのような、そんな存在なのかもしれない。
｢すみません。お礼お渡ししたら、連絡絶った方がいいですね｣
改めて彼に謝る。私がドジをしたせいで彼にここまで迷惑をかけてしまった。
｢あ、お礼、渡しますね｣
そそくさとお礼を取り出す。紙袋に入れているそれは、昨日頑張って作ったクッキーである。料理上手の母親がいてよかったと、今回ばかりは心底思った。
ほのかに甘い香りが漂ってきていて、我ながら上手くいったと心の中で賞賛した。
｢はい、本当にあの時は助かりました。ありがとうございます｣
｢……お、おう。ありがとう｣
｢スキャンダルとかになって、キヨさんが辛い思いをするのも私が嫌なので、ブロックしてもらって結構ですよ｣
｢………それは、やだ｣
｢え？｣
今は何かを言ったが内容は聞きとれなかった。
モゴモゴと口ごもるキヨさんは、すう、と息を吸った。
｢お前のこと、嫌い、じゃない、から、それはやだ｣
｢……なっ、｣
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
